クラウドで復活する「DWH」【後編】
アスリート向けSNSのStravaが「クラウドDWH」を導入 選定の鍵は管理の容易さ
再活性化の兆しを見せるDWH市場では、注目すべき新興ベンダーが登場している。その実力はどうなのか。新興ベンダーのクラウドDWHを活用するStravaの導入事例を基に探る。
前編「AWS、Microsoft、IBMも注力する『クラウドDWH』 ライバルHadoopに勝る勢い」では、分散処理フレームワーク「Apache Hadoop」(Hadoop)の登場で一時期、守勢に立たされたデータウェアハウス(DWH)に復調の兆しがあることを紹介。特にベンダー各社が注力するクラウドDWHの動向を簡潔に紹介した。
Snowflake ComputingやYellowbrick Dataなどの最近誕生したDWHベンダーは、新たなアプローチでDWH市場の再活性化を狙う。
DWHのスキーマ(データ構造)の一つ「スノーフレークスキーマ」を社名の由来とするSnowflake Computingは、列方向にデータをまとめて扱うカラムストア型DWHをクラウドサービスとして提供する。同社のCEOは、かつてMicrosoftのサーバとツールビジネス担当プレジデントを務めていたボブ・マグリア氏だ。
ベールを脱いだばかりのYellowbrickは、フラッシュメモリベースのDWHアプライアンスベンダーで、CEOはニール・カーソン氏。同氏は以前、SanDisk(現Western Digital)が買収したフラッシュストレージの専門企業Fusion-io(現Western Digital)でCEOを務めていた。Yellowbrickは、まだクラウドDWHは提供していない。
DWHの実践
アスリート向けのソーシャルネットワーキングサービス(SNS)やパフォーマンス追跡アプリケーションを開発するStravaで、データエンジニアを務めるカーリン・エング氏は、SnowflakeのクラウドDWHを有益なサービスとして認めている。
GPS(全地球測位システム)で取得した位置情報を使ったトレーニング計画の立案、エクササイズの分析、StravaのSNSへの参加など、アプリケーションの新機能開発を可能にしているのが、DWHで生み出された分析だ。
2009年創業のStravaは「クラウド生まれだ」とエング氏は語る。同社のアプリケーションは、ユーザーのモバイルデバイスで収集したデータを、まずクラウドに転送する。そのためクラウドDWHで処理することに適しているという。同社はDWHに蓄積したデータから、トレンドに合ったデータを抽出して分析することで、ユーザーの好みを理解する。これにより、開発者が優先して開発すべき案件を判断する。「開発したい新サービスや新機能はたくさんある。しかしまず何から着手するかを決めなくてはならない」(エング氏)
クラウドDWHの特性であるインフラ管理の軽減によって、技術チームのメンバーの限られた時間を有効活用できることも、Snowflakeの導入を後押しした。ビッグデータ分析用のオープンソースツールは多数あるが、中には運用管理の面で問題が生まれるツールもある。エング氏が検討したオープンソースツールの中には革新的なHadoopベースの製品もあったというが、そのうち幾つかは欠点があった。
小規模企業にとって、Hadoopクラスタの管理を完璧にすることは難しい。「管理や保守に多大な手間がかかる製品は避けたかった」(エング氏)StravaがSnowflakeを選んだ主な理由の一つが、クエリの同時実行が可能なことだったという。
縮小とクラウドDWH
データ量の増加に伴ってDWHを拡張する場合、データ量が大きいほど管理作業の厄介さは増す。ITコンサルティング企業Eckerson Groupの創設者であり、主席コンサルタントのウェイン・エッカーソン氏によると、この課題の解決方法の一つとして、クラウドDWHへの関心が高まっているという。
エッカーソン氏は、クラウドDWHのメリットを次のように語る。「DWHのインフラをユーザーが管理する必要がない上に、導入の調整をするのに数カ月もかからず、拡大縮小が容易だ。しかも、ピーク時の容量を満たすためだけにハードウェアを買い足す必要がない」
DWHが、クラウドサービスの形で返り咲きを果たそうとしている。
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クラウドで復活する「DWH」
AWS、Microsoft、IBMといった大手ベンダーから新興ベンダーに至るまで、データウェアハウス(DWH)に注目する動きが広がっている。背景には何があるのか。各社の動向と導入事例から読み解く。
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