2020年のUC市場はこうなる
「UCaaS」とは? ユニファイドコミュニケーション(UC)の5大動向
クラウドやAI技術など、さまざまな要素が「ユニファイドコミュニケーション」(UC)市場に変化をもたらす。今後のUC市場に影響を及ぼしそうな5つの動向を予測する。
「ユニファイドコミュニケーション」(UC)にとって、2019年は変革の年だった。UC市場の主要なベンダーが製品の発売とパートナーシップを通じて「将来の製品の方向性と開発方針は『クラウドファースト』(システムを構築する際にクラウドの利用を優先すること)だ」といった明確なメッセージを発したことにより、クラウドへの移行が加速した。
新興ベンダーであるSlack TechnologiesとZoom Video Communicationsは株式公開企業となり、力強い成長を達成した。一方でUC製品の改善対象はユーザーエクスペリエンス(UX:ユーザー経験価値)が中心となり、そのために人工知能(AI)技術を利用するようになった。
このような変化は2020年も続くのだろうか。あるいは新たな混乱が始まるのだろうか。2020年のUC市場に影響を与える動向を探る。
動向1.UCaaSが主流になる
調査会社Nemertes Researchの調査レポート「Workplace Collaboration: 2019-20 Research Study - Technology Trends」によると、調査対象の645組織の36%が依然としてオンプレミスのUC製品を利用している。これらの組織のうち43%が、UC製品の機能をクラウドとして利用できる「UCaaS」(Unified Communications as a Service)の移行を計画または評価している。
1社でインフラを専有するシングルテナントのホスティングサービスを使用してUC製品を運用している組織の場合、63%がUCaaSへの潜在的な移行計画を持っているか検討している。IT部門のリーダーは、コストを削減しつつ最新の機能を利用するために、複数組織でインフラを共有するマルチテナントのUCサービスであるUCaaSに注目している。
動向2.ビジネスチャット機能が業務のハブになる
現在ほとんどのUCベンダーは、中核となるユーザーインタフェース(UI)としてビジネスチャット機能を提供している。しかしビジネスチャットを作業の中心だと考えているのは調査回答者の29%のみだった。ほとんどの組織は、ビジネスチャット機能を「ソフトフォンの代替」または「メッセージングアプリケーションの一種」だと見なしている。
ビジネスチャットベンダーのほとんどは、ワークフロー機能をチームスペース(チームのワークスペース)に連携するためのパッケージオプション、または最小限のコードを記述するだけで、または全く記述せずにアプリケーションを開発できる「ローコード/ノーコード開発」(LCNC)のオプションを提供することで、作業用のポータル画面として機能するようにアプリケーションを拡張しようとしている。
UCへの投資には一定のメリットがあると考える組織のほぼ半数は、ビジネスチャットを業務のハブだと見なしている。ビジネスチャットにメリットがないと考えている組織は24%にとどまった。「ビジネスチャット機能を業務のハブとして採用することが成功につながる」という期待があることは明らかだ。
動向3.AI技術が普及する
調査において、UC製品の使い勝手を向上させるためにAI技術を使用している回答者は5%のみだった。ただし回答者の43%が、AI技術を使ったオプションの導入を検討している。会議の体験や効率を改善し、関連情報にアクセスしやすくし、言語の壁を低くするために、2020年にはAI技術を活用した機能がより広く、急速に普及することが期待される。
動向4.セキュリティ、コンプライアンス、ガバナンスが主要な差異化要因になる
セキュリティ、コンプライアンス、ガバナンスに関する機能は、より大規模で複雑なニーズを持つユーザー組織を獲得するために、クラウド市場で競っているベンダーの主要な戦場となる。Cisco Systemsなどのこうしたベンダーは、主要な差異化要因としてセキュリティ機能をアピールしている。他のベンダーはコンプライアンスのための暗号鍵管理機能やエクスポート/アーカイブ機能、分析機能などを追加している。
動向5.ワークフローと分析機能を強化した製品が登場する
UCの将来展望は、会議や通話、メッセージングといった部分的なコミュニケーション製品の組み合わせから、これらのコミュニケーション機能とワークフロー機能の連携によるビジネスプロセス改善へと急速に変化している。ワークフロー機能とコミュニケーション機能の連携には一般的にAPI(アプリケーションプログラミングインタフェース)を利用する。APIを利用した開発には専門知識が必要だ。
LCNCのワークフロー構築機能は、UC製品の標準機能として、または新規参入ベンダーによる単機能の製品として導入できる。IT部門は製品導入を重視するのではなく、特定のワークフローを見つけ出して最適化し、エンドユーザーが独自のワークフローを作成できるようにすることを重視する必要がある。
UC製品は2019年に急速に進化した。2020年には、この進化がさらに一歩進むと予想できる。UC製品のUCaaSへの継続的な移行と機能拡充により、セキュリティとコンプライアンスに配慮しながら、測定可能なビジネス価値を提供することが可能になるだろう。
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