2020年こそ未来に向けてアプリケーションのモダナイズを 鍵は「柔軟性」:IT予算計画で重視するもの【後編】
ITインフラやアプリケーションがレガシーなままでは変化に適応することは難しい。アプリケーションのモダナイゼーション(最新化)を目指す上で重視すべきポイントと、現状を把握するために確認すべきことは何か。
企業がIT製品やサービスを調達、配備、運用、維持管理する方法は日に日に変化している。クラウド技術のおかげで、企業規模の大小を問わず平等に、必要な機能やサービスを素早く利用することが可能になっている。
前編「2020年のIT予算計画、まず『事業部門の目標』と『既存IT環境の問題』を見極めよ」に続き、本稿は、2020年に予算を割くべきIT領域について考察する。
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アプリケーションのモダナイゼーションにおけるクラウドの役割
ある業務プロセスを改善しようと考えたとき、その業務プロセスは「望ましく完璧な世界」でどのように機能するか、大まかな計画を策定する。例えばそのプロセスがほぼ不変であり、長期的な使用を前提にIT部門で開発し、外部に保守を依頼することができるものなのか。それとも市場原理を踏まえた企業のニーズを反映する、定期的に変化するプロセスなのだろうか。具体的には、このようなことを考えなければならない。
比較的静的なプロセスであれば、IT部門はクラウドサービスを使用して、リソースの柔軟性、予測可能なコスト、今よりも高い可用性といったメリットを獲得できる。簡単にメリットを獲得できることは、ユーザーの満足度向上に直結する。
レガシーアプリケーションで高い柔軟性を実現することは困難だ。柔軟なITインフラを必要とする場合、長い目で見ると、クラウドサービスを使用して必要な機能を一箇所にまとめ、要件の変更に適応する、複合的なアプリケーションが必要になるだろう。動的な業務プロセスでは、さらなる検討と柔軟性の高い開発が求められる。稼働するITリソースの増減に対処できる、柔軟なリソース管理ツールも欠かせないだろう。
2020年のIT予算計画を策定する一環として、レガシーアプリケーションを機能単位で分解する作業に取り掛かり、既存のアプリケーションでは解決できない問題や実現が困難な機能は外部に委託することをお勧めする。このような段取りにおいては、クラウドサービスに任せる部分を徐々に増やし、メンテナンスと運用の費用を削減するために、できるだけ早い段階でオンプレミスアプリケーションの運用停止を目標としたい。
全ての段階で、事業部門と連携して変更の成果を評価することが肝要だ。肯定的な反応が返ってくるときは、少ないコストでさらに最適化できるかどうか確認してほしい。否定的な反応が返ってくるときは、その理由を判断してやり直す。クラウドサービスを適切に利用すれば、オンプレミスよりもずっと簡単にシステムやアプリケーションを変更可能だ。IT部門は必要に応じて機能を入れ替えることができ、かかるコストも比較的安価になる。
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