AWSがついに「ハイブリッドクラウド」に本腰か “クラウド王者”の戦略は:AWS、Microsoft、Google、IBM、Oracleのクラウド戦略【前編】
クラウドサービス市場をけん引するAWSは、自社のクラウドサービスや事業をどう強化し、どう拡大させようとしているのか。同社のクラウド戦略と、ユーザー企業がAWSを利用するときの課題を整理する。
クラウドベンダーはユーザー企業のニーズに応えるために、あらゆる機能をクラウドサービスとして提供しようとしている。3大クラウドベンダーのAmazon Web Services(AWS)とMicrosoft、Googleは似たようなクラウドサービスを提供する一方で、それぞれに得意分野と不得意分野がある。OracleやIBMなど他のベンダーは、ターゲットを絞ったより専門的なクラウドサービスを提供している。
本記事はAWSの戦略と、同社がクラウドサービス市場で持つ強みと課題を検証する。
AWSの戦略
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最大手クラウドベンダーのAWSは、170個以上のクラウドサービスを提供する。クラウドサービスの種類が豊富で、料金プランが複雑だ。
2020年にAWSが開催した年次イベント「re:Invent 2020」の基調講演で最高経営責任者(CEO)のアンディ・ジャシー氏は「AWSが創出しているのは『顧客のための』製品だ」と強調した。AWSのクラウドサービスはさまざまな企業が利用できる。ただし自社にとって最適なクラウドサービスと料金プランを選ぶには詳しい調査が必要で、労力がかかる。
AWSは従来レガシーシステムやオンプレミスのインフラをクラウドサービスで補うハイブリッドクラウドに対して、MicrosoftやGoogleと比べて消極的な姿勢を取っていた。AWSはVMwareとの提携を通じてこの“欠点”を是正し、AWSをオンプレミスのインフラで実行するアプライアンス「AWS Outposts」の内容を充実させつつある。ユーザー企業がAWSを使ってハイブリッドクラウドを実現したい場合は、AWS Outpostsや「VMware Cloud for AWS」を利用できる。VMware Cloud for AWSはVMwareの仮想化製品をAWSで実行するためのサービスだ。
2021年もAWSはハイブリッドクラウド戦略をさらに拡大させる。ユーザー企業はAWSのコンテナオーケストレーションサービスである「Amazon Elastic Container Service」(Amazon ECS)や「Amazon Elastic Kubernetes Service」(Amazon EKS)と同等のシステムを、オンプレミスのインフラで稼働させてクラウドサービスとして利用できるようになる。
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