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「Windows 11」移行は無意味 なのにPC更改は“実質強制”の裏事情「Windows 11」システム要件の謎【前編】

「Windows 10」と比較すると「Windows 11」のシステム要件は厳しい。OSの機能的な進化があまりないにもかかわらずだ。企業ユーザーがこの新OSを「無意味だ」と結論付けるのも無理はない。

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 Microsoftの次期OS「Windows 11」は、企業にとっての具体的なメリットはほとんどない。それにもかかわらずシステム要件においては「Windows 10」よりはるかに強力なパワーを必要とすることが分かった。

 2021年6月にWindows 11を発表した際、Microsoftは詳細なシステム要件を明らかにしなかった。しばらくして同社はWindows 11の基本機能と同OSの特定機能に固有のシステム要件を公表した。

企業には無意味の「Windows 11」 PC更改“実質強制”のシステム要件

 Windows 11のシステム要件は、

  • 1GHz以上で2コア以上の64bit互換プロセッサまたはシステムオンチップ(SoC)
  • 4GB以上のRAM(メインメモリ)
  • 64GB以上のストレージ
  • グラフィックス処理用API(アプリケーションプログラミングインタフェース)「DirectX」のバージョン12以上、ディスプレイドライバの仕様「WDDM 2.0」(WDDM:Windows Display Driver Model)準拠のグラフィックスカード
  • セキュリティチップ「TPM」(Trusted Platform Module)のバージョン2.0
  • 対角サイズ9型以上で8bitカラーの高解像度(720ピクセル)ディスプレイ

などとなっている。これらの要件は、2021年秋に同OSの販売が始まる前に幾つか変わる可能性がある。

 加えてWindows 11の特定機能に固有の下記のような要件もある。

  • 「5G」(第5世代移動通信システム)の利用には5G用モデムが必要
  • 「Wi-Fi 6E」の利用には新しい無線LAN用機器とドライバ、Wi-Fi 6E準拠の無線LANアクセスポイントが必要

 参考までに、Windows 10の主なシステム要件は下記の通りだ。

  • 1GHz以上のプロセッサまたはSoC
  • 32bit版は1GB、64bit版は2GBのRAM
  • 32bit版は16GB、64bit版は20GBのストレージ
  • DirectX 9以上、WDDM 1.0のグラフィックスカード

 Windows 11のシステム要件を前提にすると、Windows 10からアップグレードするには、ほとんどの企業は新しいノートPCやデスクトップPCに投資しなければならない。Windows 10は2015年から存在しており、古めのハードウェアでも動作しているからだ。

 「MicrosoftはWindows 10を更新し続けてきたので、『古いハードウェアはもうサポートしない』とはなかなか言い出しにくかった。Windows 11を投入することで、同社は都合よく線引きができる」。調査会社Gartnerのアナリスト、スティーブ・クレイナンズ氏はそう指摘する。

 Windows 11をインストールするメリットは、消費者向けのものが大半を占めそうだ。例えばユーザーインタフェースが変わる。タスクバーのアイコンは「Mac」のように中央ぞろえになる。スタートメニューは画面中央に開き、ピン留めされたアプリケーションが上部に、最近閉じたアプリケーションやファイルが下部に表示される。Windows 11で「Android」アプリケーションをダウンロードして使うことも可能になる。

 企業はこうした変更点によるメリットを疑問視している。

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