勝てる組織がやっている「顧客の声」(VoC)の活用法:顧客の声(VoC)を活用する7つのベストプラクティス【前編】
顧客の声(VoC)プログラムは、うまくやりさえすれば組織にとって非常に有意義なものとなる可能性がある。どのように進めればよいのか。具体策を紹介する。
顧客の声(VoC)の活用は、組織のカスタマーサービスやカスタマーエクスペリエンス(CX:顧客経験価値)、CRM(顧客関係管理)の領域で急速に拡大している。顧客とのコミュニケーションにおいて、素早い回答への要望が伸び続けていることが背景にある。これを正しく理解することは、掛け値なしに重要だ。組織の競争力は、顧客満足度に大きく左右される。有効なVoCプログラムを構築することは極めて重要な第一歩だ。しかし、そのプログラムをうまく管理することは、なかなか難しい。
VoCプログラムで実施すべき7つのベストプラクティスは以下の通りだ。
- チャネルや方法論を限定しない
- 戦略的になる
- 対応を計画する
- 広く伝える
- パーソナライズする
- 時間とともに顧客をよりよく知る
- 既存顧客だけの問題で終わらせない
今回は1つ目と2つ目について述べ、3つ目以降は次回解説する。
1.チャネルや方法論を限定しない
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VoCプログラムを有用なものにする上では、コールセンターへの電話やメール、企業のWebサイト、ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)など複数のチャネルから顧客データを収集することが重要だ。監視すべき情報源を増やすだけでは十分ではない。それぞれのチャネルに合ったコミュニケーションの方法論を模索する必要がある。以下に挙げるように、それぞれのチャネルで取得できるデータが異なるからだ。
- オンラインの顧客調査では、やりとりの直後を調査対象とすることが重要になる。CXに関する顧客の気持ちが新鮮な分だけ、フィードバックの価値が高くなるからだ。
- 顧客への直接の対面インタビューは、実施がより難しいが、CXや感情に対して共感度の高い理解を生み出すことができる。
- チャットbotについては、一般的に人のオペレーターを相手にするときよりも回答が正直になる傾向がある。チャットbotでのインタビューは、顧客から有意義なフィードバックを得やすくなるという点で、人によるインタビューよりも優れているともいえる。
- 「この製品またはサービスを友人に薦める可能性はどのくらいありますか」というたった1つの質問で計測するNPS(ネットプロモータースコア)は、指標をシンプルにするだけでなく、CXがどう進展したかを知るための迅速かつ信頼できる方法だ。
- 顧客はどの製品やサービスにお金を費やすかを判断する際、これまで以上に他の顧客の意見を頼りにするようになった傾向がある。Amazon.comなどのEコマース(EC)サービスでも、見込み客は購入前にレビューや推薦文を読むことがよくある。
- SNSのモニタリングは必須のVoCチャネルだ。SNSのデータを収集・分析してブランドへの言及を明らかにして研究し、顧客の感情傾向をはっきりさせる。
- フォーカスグループ(少人数のサンプルグループ)へのインタビューは、組織が提供するものに対する顧客の感情を評価するという観点から、豊かなデータをもたらしてくれる可能性がある。最近ではオンラインでインタビューが完了するといった簡便さもあり、フィードバックの価値を損ねることなくコストが軽減されている。
2.戦略的になる
VoCプログラムにおいては、どこで顧客のフィードバックを得るかだけでなく、いつそれを実施するのかも大きなポイントだ。例えば正確な回答を得るには、顧客が製品や他サービスを利用した直後に、それについて顧客に尋ねるとよい。
顧客の声を聞くタイミングをカスタマージャーニーの重要な節目に合わせることは可能だ。他にも顧客のオンライン行動が変わったときや、顧客がすでに購入している製品またはサービスが特長をアップグレードするときなども、適切なタイミングになる可能性がある。
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