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“学部主導のIT導入”で混乱の大学が「オンライン教育」に爆速移行 その作戦はトロント大学ミシサガ校が実践、「オンライン教育」移行のこつ【後編】

トロント大学ミシサガ校は、新型コロナウイルス感染症の影響で迅速なオンライン教育移行が求められていた。従来、各学部がそれぞれにIT機器導入をしていた同校が、今回選んだ移行方法とは。

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Citrix | 教育IT


 前編「大学が『オンライン教育』に3カ月で移行、成功に導いた“強力な味方”とは」は、カナダにあるトロント大学ミシサガ校(University of Toronto Mississauga、以下UTM)が、どのようにオンライン教育への移行を検討し始めたかを伝えた。後編は、短期間での導入のためにUTMとITサービスベンダーThird Octetが実施した選択と集中について紹介する。

 UTMがオンライン教育を検討し始めた当時、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミック(世界的大流行)に関するガイドラインは不明確だった。そのためUTMは当初、オンライン教育プロジェクトの目標を明確に定めることができなかった。そうした中でThird Octetは、UTMの新しい教育関連システムの要件を規定し、ユーザー体験をシンプルに保つことを目指す戦略を構築した。

秋の新学期に間に合うか――トロント大学ミシサガ校の“作戦”とは

 「この要件は試練だった」とThird Octetの最高経営責任者(CEO)、マシュー・メテルスキー氏は指摘する。パンデミックのガイドラインは流動的だが、大学が再開する秋の新学期までは短い期間しかなく、さまざまな決定を迅速にしなければならなかった。

 UTMは15個の学部がそれぞれコンピュータインフラを選定している。その結果、学内に多様なシステムとアプリケーションが混在していた。Third Octetは時間の制約を考慮して、移行対象を絞り込むことにした。大学が提供する全ての学術アプリケーションを、即座にリモートアクセス可能にすることは「不可能だった」とメテルスキー氏は明かす。

 Citrix Systemsの製品の販売認定資格である「Citrix Solution Advisor」の上位レベル「PLATINUM」を保有するThird Octetは、UTMに以下の方針を提案した。

  1. 大学の研究室など、UTMのアプリケーションのニーズに適している分野を対象に、Citrix製品を取り入れる
  2. デバイスを問わずにアプリケーションやデータを利用できるようにする「デジタルワークスペース」技術を導入する
  3. Citrix製品をクラウドサービスとして利用できる「Citrix Cloud」の利用を拡大する

 UTMはこれまで主にオンプレミスのCitrix製品を利用しており、Citrix Cloudの活用は限定的だったという。1000ユーザーの同時接続が可能なCitrix製品を基にしたオンライン教育システムの提供は、秋の新学期に間に合うよう準備が整った。

「ITでは全ての要素を再現できない」という学び

 Third Octetはこのプロジェクトを通じ、教育市場について幾つかのことを学んだ。「教育機関は非常に複雑だ。教育に関わる全ての要素をITで仮想的に再現することはできない」とメテルスキー氏は言う。

 サービスを提供する相手が学生でも、他のエンドユーザーでも「全く違いはない」とメテルスキー氏は話す。「エンドユーザーは誰もが、一貫性のあるサービスで最良のデジタル体験を提供する技術を求めている」(同氏)

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