Oracleが「電子カルテ」ベンダーを買収する“なるほどの理由”:Cerner買収から見えるOracleのクラウド戦略【前編】
Oracleが電子カルテ(EHR)ベンダーCernerを買収する。なぜEHRベンダーなのか。クラウドサービス事業との関係とは。買収の狙いを専門家が探る。
Oracleは、電子カルテ(EHR:電子健康記録)大手のCernerを買収する。買収金額は約283億ドルで、2022年内に買収手続きを完了する見込みだ。Cernerの主要顧客には米国退役軍人省(VA)といった公的機関が含まれている。
「Cernerは、その事業を世界の多くの国に拡大する中で、さらに大きい収益機会を得ることになる」。OracleのCEOであるサフラ・キャッツ氏はこう述べる。
だからOracleは「電子カルテ」ベンダーを買収する
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調査会社Constellation Researchのアナリストであるレイ・ワン氏によると、EHRはIT市場の中で最も急速に成長している分野の一つだ。OracleはCernerのEHRシステムから得たデータを活用し、特にヘルスケア業界の顧客に対するサービスを拡大させると同氏はみる。
Oracleの競争力の源泉はクラウドサービスだと、ワン氏は指摘する。EHRシステムをはじめとしたヘルスケア関連システムは「膨大な量のデータを転送し、膨大なストレージを要する」(同氏)。そのためEHRシステムのインフラにはクラウドサービスが適しているという。
ITコンサルティング会社Pund-ITのアナリストであるチャールズ・キング氏は「今回の買収は、企業ITにおける2つのトレンドを示している」と述べる。1つ目はクラウドベンダーがヘルスケアや金融サービスなどの規制業界で、重要な地位の確保を狙っていること。2つ目は、データ分析技術で自社とユーザー企業のデータの価値を最大限に高めることだ。
今回の買収は、Oracleにとって「ビジネスを拡大させる機会になる」とキング氏は述べる。「買収により、Oracleがヘルスケア業界のユーザー企業に提供できる製品/サービスは充実する」(同氏)
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