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“イベント依存”のキャンペーンは時代遅れ 小売業大手Targetの変革とは?GM、McDonald's、Targetのデジタルマーケティング戦略【後編】

キャンペーンは年次イベントに合わせて実施する――。こうした“常識”が、ITの進化によって変化しつつある。イベントに依存しないキャンペーンの在り方を模索する、小売業大手Targetの取り組みを紹介する。

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 2022年1月開催の最新技術見本市「CES 2022」における、Eコマース関連の公開討論会には、ショッピング代行サービスInstacartと小売業大手のTargetが登壇した。Instacartの2020年の売り上げは、2019年と比べて229%増加したという。同社は米国のEコマースによる食料品の注文の5分の1を扱う。その地位を保つことが「最優先事項になっている」と、同社最高業務責任者のアシャ・シャルマ氏は説明する。

“イベント依存”は時代遅れ 「常時オン」のキャンペーンとは

 Instacartの2021年の目標は、北米のどこでも2時間以内に顧客の手に商品を届けるというものだった。2022年には、同社はその時間をさらに15〜30分短くすることを目指している。そのためには先進的な注文や支払いを可能にする新しいシステムの導入に加えて、物流プロセスの見直しも必要になる。こうした取り組みは「難題となる可能性がある」とシャルマ氏は語るものの、「2020年の爆発的普及時ほどの困難ではない」とみる。

 独自のITインフラとアプリケーションを構築してきたTargetは、2020年に入る直前の数カ月でデジタルチャネルを再構築した。これにより2020年は、ライバル他社が遅れを取り戻そうともがく中で、数十億ドルに上る成長を遂げた。

 「デジタルマーケティング戦略は一過性の戦略から、より洗練された“常時オン”のキャンペーンに移っている」。Targetのエグゼクティブバイスプレジデント兼最高マーケティング責任者兼最高デジタル責任者を務めるカラ・シルベスター氏は、こう話す。

 Targetは黒人資本のブランドをモバイルアプリケーションやWebサイトで年間を通して打ち出している。以前であれば、同社が黒人をターゲットとしたキャンペーンを実施する際、米国における毎年2月の「黒人歴史月間」に絞ってキャンペーンを実施していた可能性がある。「デジタルの加速が、前向きな変革を推進する力を拡大させている」とシルベスター氏は語る。

 2019年にTargetが開始した顧客プログラム「Target Circle」は、同社の店舗やオンラインストアでのショッピングに割引を適用する。調査会社IDCのアナリストであるジョーダン・ジュエル氏は、こうしたプログラムは「興味深い」と評価する。ただしEコマースでより効果的なのは「筋金入りのファンにとどまらず、より幅広い層の人を引き付けるプログラムだ」と述べる。「成長を維持するには、新規顧客を獲得するためのプログラムにこそ取り組むべきだ」とジュエル氏は言う。

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