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脱オンプレミスからの“クラウド依存”を決めたら覚悟すべきこととは?クラウド障害に備えるには【中編】

クラウドサービスの障害が及ぼす影響は、企業がクラウドサービスをどの程度“本気”で使うのかによって変わる。クラウドサービスへの依存度を高める決断をした企業は、障害に備えて何をすればよいのか。

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 クラウドサービスの採用を進める場合、クラウドサービスの障害によるビジネスへの悪影響を防ぐための対策が重要になる。実際、Amazon Web Services(AWS)、Google、Microsoft、Meta Platforms(旧Facebook)などのクラウドサービスでは、影響が広範囲に及ぶ障害が発生している。クラウドサービスを全く使わないことは、もはや現実的な選択肢ではない。いつ起きてもおかしくないクラウドサービスの障害に、企業はどう“付き合えば”いいのか。

“クラウド依存”を決めた企業に必要な「覚悟」とは

 過去に発生したクラウドサービスの障害から、2つの疑問が生まれる。それは、

  • ユーザー企業はクラウドベンダーのインフラに依存し過ぎているのではないか
  • オンプレミスのインフラと同じようには、クラウドサービスを「重要インフラ」と見なせないのではないか

ということだ。

 企業の間では、アプリケーションをオンプレミスのインフラからクラウドサービスに移行する動きが活発化している。そうした中、クラウドサービスを重要インフラと見なすべきかどうかについて、早めに社内で議論し、方針を定めることが重要だ。

 クラウドサービスの障害によって、メールや社内コミュニケーションツール、ファイル共有機能を一定時間利用できないシナリオで考えてみよう。この場合はビジネスへの影響が間接的なので、必ずしもクラウドサービスを重要インフラ扱いにする必要はない。他方、工場の設備をクラウドサービスに接続したり、金融情報や医療情報をクラウドサービスで扱ったりしているとなると、話は別だ。こうした場合、クラウドサービスの障害はビジネスに直接的な損害を与えるだけでなく、人々の利便性や健康にも悪影響を与える可能性があるので、間違いなく重要インフラになる。

 例えばMicrosoftのクラウドサービス「Microsoft Azure」で保存している医療情報を、分析サービス「Azure Health Data Services」で分析している医療保険会社があったと考える。この場合、Microsoft Azureの障害が社会に与える影響は小さいとは言えない。Amazon Web Services(AWS)がエネルギー企業向けに提供する、石油探査や石油生産監視用のサービスや、自動運転のための速度や位置情報を分析するためのGoogleのサービスについても同じことが言える。


 後編は、クラウドサービスの障害による業務中断を防ぐための対策を紹介する。

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