英国「全校ギガビット回線化」の“本当の狙い”は壮大だった:英国で進む「教育機関向けネットワーク」の強化【後編】
英国は2025年までに全ての教育機関がブロードバンドに接続できるようにする計画を立てている。英国政府が回線の高速化にこだわる理由は何か。
英国教育省は、英国の全ての教育機関が1Gbps以上のデータ通信速度でインターネットに接続できる高速回線(ブロードバンド)に接続できるようにすると発表した。2025年までに整備する計画だ。英国の教育関連専門機関Association of School and College Leaders(ASCL)の事務局長を務めるジェフ・バートン氏は、この教育機関向けブロードバンド施策を通じて、「教育機関における技術強化支援に焦点が当てられることを歓迎する」と話す。
英国が「全校ギガビット回線化」にこだわる“本当の狙い”は
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「技術がもたらすチャンスを捉えて、若者の学習体験を広げることは非常に重要だ」とバートン氏は指摘する。ITを活用して学習体験を広げるには、適切なITインフラの整備と、どのような取り組みが有効かを示すエビデンスの提示が欠かせない。同氏は「教育機関は学習者のために技術を最大限に活用することに、とても積極的だ」と話す。既に幾つかの教育機関が、この方針で成果を上げているという。「学習者に役立つものなら、教育機関は温かく歓迎する」(同氏)
教育省が教育機関のブロードバンド接続を推進する狙いは、教育機関におけるIT活用の質をさらに高めることだ。その先に「あらゆる面での教育の水準の向上」という英国政府の目標がある。具体的には以下の実現を目指す。
- 学習者の学習効果向上
- 教員の負担軽減
- 教育機関の経営効率化
英国政府は2021年10月、英国の1000校以上の教育機関で学習者がブロードバンドを利用可能になったと公表。「5G」(第5世代移動通信システム)をはじめとした無線ネットワーク整備を促進するアイデアとエビデンスを募集した。対象となる技術分野は衛星、「IoT」(モノのインターネット)、そして「6G」(第6世代移動通信システム)だ。
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