クラウドで失った“あの権利”は「ソブリンクラウド」で取り戻せる?:クラウドサービスのデータ主権問題【後編】
クラウドサービス利用時のセキュリティを不安視する企業の間で「ソブリンクラウド」への関心が高まっている。その背景にある、“ある権利”の問題について解説する。
クラウドサービスを利用する組織は、セキュリティ面のリスクを懸念事項として挙げることがある。この点は、「ソブリンクラウド」への関心の高まりにつながっている。ソブリンクラウドを利用することでクラウドサービス利用の何が変わるのか。
「ソブリンクラウド」が重視する“あの権利”とは
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クラウドにまつわる注意点
調査会社Capgemini Research Instituteで公共部門担当の責任者を務めるマーク・ラインハルト氏は、「クラウドサービス利用時のセキュリティリスクを不安視する組織は、『ソブリンクラウド』を利用することで、クラウドサービスを安心して利用できるようになる」と語る。ソブリンクラウドとは、データ保護に関する各国の法律や規則にのっとることを保証したクラウドサービスだ。
組織がクラウドサービスを選定する際の要件として、「データ主権(データの制御と管理に関する権利)を持てるのかどうか」の重要性が増している。特にその傾向が目立つのは政府をはじめとした公共部門の組織だ。
Capgemini Research Instituteは2021年5月から6月にかけて、オーストラリアやフランス、ドイツ、インド、英国、米国など10カ国の組織の幹部1000人を対象に、ソブリンクラウドに関する調査を実施した。それによると、公共部門の組織の48%がソブリンクラウドを既に利用している、もしくは今後1年以内の利用を検討していると回答した。
公共部門に限らず、組織はクラウドサービス活用のための戦略策定に当たり、データ主権の有無を考えなくてはならない。「機密性の高いデータをソブリンクラウドで運用することで、顧客にとって使いやすく、信頼できるサービスを構築できるはずだ」とラインハルト氏は語る。
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