プログラミング言語「C」は“あの家電”でもひっそりと活躍していた?:いまさら聞けない「C」の歴史【第4回】
登場以来さまざまなプログラム開発で活躍してきた「C」。具体的にどのような用途があるのか。主な例を紹介する。
プログラミング言語「C」は、OSから組み込みシステムまで、さまざまな先端技術を支えている。一般的にCプログラムは
- 実行中のメモリ使用量を管理可能な範囲に抑えることができる
- そのため、実行時のリソース要件も妥当な範囲に収まる
- ハードウェアを制御できる
- システム間の移植性が高い
といった特徴を持つ。これらの特性が力を発揮するCの利用例を幾つか紹介する。
利用例1.機械の組み込みシステム
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連載:いまさら聞けない「C」の歴史
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Cの関連言語
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Cは歴史的に、機械の中で稼働するプログラムを記述するプログラミング言語として使われてきた。われわれが日常生活で使う電子機器のドライバの中には、Cでプログラミングされているものがある。例えば
- 目覚まし時計
- リモコン
- コーヒーメーカー
- 電子レンジ
などだ。自動車が備える以下の要素の制御も、Cプログラムが実現していることがある。
- ダッシュボードのディスプレイ
- チャイルドロック
- スマートエントリー
- 物理的な鍵を使わずにドアの施錠/解錠や発車などを可能にする仕組み。
- エアバッグ
- シートヒーター
利用例2.OS
カーネル(OSの中核ソフトウェア)やデバイスドライバを操作するエンジニアは、Cを好む傾向がある。「Linux」「macOS」「iOS」「Windows」「Android」といった各OSのカーネルは、Cでプログラムを組むことが定着している。
利用例3.データベース
「MySQL」「PostgreSQL」「SQL Server」など、データベース管理システム(DBMS)にはCで記述されたものが目立つ。例えばOracleがDBMS「Oracle Database」を開発する際、構想段階では「アセンブリ言語」(コンピュータが直接解釈できる「機械語」に一対一対応したプログラミング言語)による開発を想定していた。1983年公開のOracle Databaseバージョン3は、Cで書き直されている。
利用例4.コンパイラとインタープリタ
「コンパイラ」や「インタープリタ」は、ソースコードから実行可能ファイルを生成するプログラムだ。「Perl」「Python」といった新興のプログラミング言語はCで記述されている。それらのプログラミング言語のコンパイラやインタープリタは、Cのコンパイラに基づいた動作をする。
利用例5.3D映画
3D(3次元)映画関連技術の開発者が使用するアプリケーションは、処理対象のデータ量が増えやすく、1秒当たりの計算回数が多くなりやすい。こうしたアプリケーションは、概してCや後継の「C++」といったプログラミング言語を使って開発される。
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