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ネットゼロを目指すHeinekenはなぜ「あのデータ」に着目するのかビールメーカーのデータ活用【後編】

大手ビールメーカーのHeinekenは、サステナビリティ向上に取り組むため、先進的な技術活用を進めている。具体的な取り組みや課題、今後の展望を紹介する。

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 大手ビールメーカーHeinekenは「ネットゼロ」(温室効果ガスの排出量と、除去量および吸収量が等しい状態)実現を目標に掲げ、全社での取り組みを進める。同社のデジタルトランスフォーメーション(DX)戦略においても、サステナビリティ(持続可能性)は優先課題だ。

 サステナビリティ向上のためにHeinekenが実践する、データを中心とした先進的な取り組みや課題、今後の展望を紹介する。

サステナビリティ向上に取り組むHeineken 着目する“あのデータ”とは

 Heinekenがサステナビリティ向上のために取り組むことの一つが、環境に配慮したビール醸造所だ。同社の傘下企業が手掛けるビールのブランド「Göesser」では、オーストリアの醸造所がビール生産に再生可能エネルギーを100%使用している。フランスやブラジルの醸造所も同様の取り組みを実施している。

 他にも、3D(3次元)プリンタを用いた取り組みも進んでいる。Heinekenは約40カ所の醸造所に3Dプリンタを導入しており、2022年末までにさらに25カ所に導入する計画だ。部品の作成に3Dプリンタを活用するとともに、予備部品の管理を徹底することで、二酸化炭素(CO2)排出量を削減する。

 Heinekenでデータ管理担当ディレクターを務めるエリザベス・オスタ氏は、サステナビリティ分野における課題として、「ダークデータ」にしばしば直面することを挙げる。ダークデータとは、重要であるにもかかわらず収集もしくは可視化されていないために、活用が進まないデータのことだ。Heinekenは、サプライヤーとのデータのやりとりを促進するため、常に最新の標準データモデルに目を向けているという。

 「CO2排出に関わるバリューチェーン全体でデータ互換のアプローチを取ることが求められる」とオスタ氏は話す。Heinekenはベンダーと第一歩を踏み出し、まず生産データにアクセスできることを確認した。今後、小売店とのより効果的なデータ互換の実施も視野に入れている。「社内におけるバリューチェーンの全体像を把握するため、さまざまな作業が進んでいる」(同氏)

 HeinekenがDXを推進する目的の一つは、サプライチェーンにおける企業同士のコミュニケーションを促進することだ。コミュニケーションの土台を築いておけば、近い将来、報告業務がはるかに容易になると同社は期待している。

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