データセンター障害の「損失」を悪化させる“真犯人”は:変化に迫られるデータセンターの実態【第4回】
データセンター設計の認定機関が実施した調査によると、データセンターの機能停止時のコストは上昇傾向にある。その理由とは。
データセンター設計の認定機関Uptime Instituteはデータセンターに関する年次レポート「The Uptime Institute Global Data Center Survey 2022」を2022年9月に公表した。調査によると、データセンターの機能停止時に発生するコストは上昇傾向にある。何が原因なのか。
データセンター障害の損失が悪化する理由は
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連載:変化に迫られるデータセンターの実態
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調査は2022年前半にUptime Instituteが実施したもので、世界中のデータセンターのオーナーや事業者約800人と、データセンターのサプライヤーや設計者、アドバイザー約700人を調査対象にした。
直近で発生した機能停止の際にかかったコストについて、回答者の25%は「100万ドルを超えた」と答え、45%は「10万〜100万ドルだった」と回答した。このコストが10万ドル以上だった回答者は2019年以降に増加を続けている。この傾向は続くとUptime Institute Intelligenceはみる。
データセンターの機能停止で発生するコストが上昇するのは、複数の要因が組み合わさった結果だとレポートは説明する。要因は、
- インフレ
- サービス品質保証(SLA)違反
- 人件費
- 交換部品費用
など多岐にわたる。中でも大きな要因は、デジタルサービスやデータセンターへの経済活動の依存度が高まっていることだ。データセンターの機能が停止するとその影響で業務が中断し、企業の損失につながりやすい。
Uptime Institute Intelligenceで調査部門のエグゼクティブディレクターを務めるアンディ・ローレンス氏は調査結果について、レジリエンス(障害発生時の回復力)や信頼性向上を目的とした投資が目立ち、ITインフラ部門は順調に成長と拡大を続けていると評価する。その一方でローレンス氏は、「電力使用効率の改善や人材確保などやるべきことが残っている」と課題を指摘する。
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