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もはや慈善事業ではない“フードロス”削減 小売業がITにかける期待とは小売業界が取り組むフードロス対策【第7回】

フードロス削減を実現するため、さまざまなIT企業が革新的な取り組みを進めている。フードロス対策分野の将来はどうなるのか。

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 小売業界の成長を支援する非営利団体ECR Communityとイノベーション支援企業のCo:cubedは、フードロス(食べることのできる食品が廃棄になること)削減のためのイノベーションコンテスト「The ECR Food Waste Innovation Challenge」を毎年開催する。スウェーデンを拠点とするIT企業Whywasteは、同コンテストで2019年度のファイナリストにノミネートされた。これをきっかけに、Whywasteは世界各国の小売業者の注目を集めるようになった。

小売業が期待をかける“ITのアイデア”

 Whywasteは、消費期限が近い商品を確認できるモバイルアプリケーション「Semafor」を提供する。このサービスを活用して、小売店舗の従業員は適切なタイミングで値引きをし、フードロス防止に取り組むことができる。

 The ECR Food Waste Innovation Challengeに応募するのは、フードロス防止や削減、食品の再利用に関するアイデアを持つ企業だ。提案したアイデアがコンテストで10位以内に入った場合、企業は後日イベントに招待され、小売業者50社以上に対してアイデアを売り込むことができる。

 新しいアイデアやイノベーションを模索する動きは、フードロス削減の取り組みの重要性を明確に示すものだ。小売業者は、地球環境を良くしたいという思いだけでなく、自社のネットゼロ(温室効果ガス排出量が実質的にゼロの状態)の目標や法規制の影響を受けて、フードロス対策に取り組んでいる。

 コンサルティング企業Roland Bergerでシニアパートナーを務めるシボーン・ゲヒン氏は、「フードロス関連データの報告義務化などの規制が敷かれるに当たって、小売業者の意識は高まっている」と話す。

 ゲヒン氏は、英国の小売業界における余剰食品の再分配について、「他国よりかなり進んでいる」とコメントする。その取り組みにおいて重要な役割を果たしているのは、フードロス問題に特化したアプリケーションだ。「今後、同市場にはさまざまな企業が参入するだろう」(同氏)

 ゲヒン氏のコメントを裏付けるのが、気候変動問題に取り組むNGO(非政府組織)のWRAP(Waste & Resources Action Programme)が2022年7月に公表したレポート「WRAP Surplus food redistribution in the UK 2015 to 2021」だ。レポートによると、余剰食品再分配の取り組みは活発化しているものの、2021年にはまだ食べられる食品16万トンが、小売業と製造業で廃棄された。

 WRAPは英国の食品サプライチェーンを高く評価している。一方で、フードロス削減にはさらなる取り組みが必要であり、小売業界は問題解決に貢献するITに注視している、とレポートは結論付けている。

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