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「脱VPN」が進む理由、進まない理由 “分かれ目”の判断はVPNと代替技術の行方【第3回】

VPNは、もはやリモートアクセスの“一強”ではなくなった。とはいえ企業は、テレワークへの移行においてVPNを重宝した。その役割は今後も続くのか、そうではないのか。

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 安全なリモートアクセスを実現する技術として企業の業務を支えてきた「VPN」(仮想プライベートネットワーク)は、テレワークが急速に普及する中でも大いに活躍した。代替の技術が普及してVPNはその役割を終えるのか、そうではないのか。VPNが使われる理由と、代替技術を検討する理由を基に考えてみよう。

「脱VPN」は進むのか、進まないのか

 最も基本的なVPNの機能は、リモートアクセスのセキュリティを確保することだ。テレワークを取り入れた新たな働き方が定着する時代では、特にセキュリティが重要になる。VPN代替の候補としては、

  • ZTNA(Zero Trust Network Access)
    • リモートアクセスをポリシーに基づいて動的に許可する
  • SDP(Software Defined Perimeter)
    • ネットワークの境界をソフトウェアで定義する
  • SASE(Secure Access Service Edge)
    • インターネットやクラウドサービスに安全に接続するための、セキュリティやネットワークの機能をまとめて提供する

などが挙がっている。

 VPNについての批判の一つは、基本であるはずのセキュリティの強度だ。エンドユーザーはVPNによって社内のネットワークへのアクセスが可能になる。サイバー犯罪者がVPNへの不正なアクセスにいったん成功すれば、ネットワーク内のシステム全体が侵害される恐れがある。実際、VPNを起点にした攻撃は珍しいものではなくなった。

 米TechTargetの調査部門Enterprise Strategy Group(ESG)でシニアサイバーセキュリティアナリストを務めるジョン・グラディ氏は、次のように語る。「VPN機器の脆弱(ぜいじゃく)性が見つかっている事実を加味すると、サイバー犯罪者は特別な努力をしなくても、VPNを侵害するポイントをインターネットで見つけることができる」

 企業がVPNの代替技術に関心を寄せる理由としては、セキュリティリスクよりも、ネットワーク要件に関わる要素の方が大きい可能性がある。例えば企業の間で、ネットワークの管理ツールをクラウドサービスとして使う傾向が強まっていることは、ネットワーク要件に関係している。ZTNAも基本はクラウドサービスとして使うことになるため、他のクラウドサービスとの管理を一元化しやすい。これはデータセンターに配置するVPN機器の管理では実現しにくいことだ。

 「代替技術に関心が移るのは、VPN自体に問題があるからではない」と、ESGのシニアネットワークアナリストを務めるボブ・ラリベルテ氏は言う。利用するシステムがオンプレミスからクラウドサービスへと移っているため、システム全体の設計としてVPNがそぐわなくなりつつあるということだ。

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