医療機関CTOが目指す“患者が来るのを待たない医療”とは?:米国医療機関が挑む「ITの変革」と「ITによる変革」【第3回】
「患者が症状を自覚してから受診するのは“古い医療”だ」と、米国医療機関Wexner Medical CenterのCTOは語る。“新しい医療”とは何なのか。どのようにすれば実現するのか。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)は、IoT(モノのインターネット)を活用した予防医療に新たなパラダイムをもたらした――。Ohio State University(オハイオ州立大学)に付属する医療センターのWexner Medical Center(以下、WMC)で、副最高情報責任者(Deputy CIO)および最高技術責任者(CTO)を務めるシジ・アテコヤ氏は、こう説明する。
パンデミック以前は、患者は症状を自覚してから病院で治療を受けていた。アテコヤ氏に言わせれば、これは「受動的で、つながりのない医療」だった。
「患者が来るのを待たない医療」はこうして実現する
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医療機関はプロセス自動化ツールを使用することで、患者の変化と、それに応じた医療従事者の対処を切れ目なくつなげることができる。こうした「より能動的で、つながりのある医療」の例としてアテコヤ氏は、電子カルテ(EHR:電子健康記録)ベンダーEpic Systemsの「MyChart」といった健康情報管理アプリケーションを使って、医療機関が患者にいち早く診断結果を提供することを挙げる。
「患者が医療の主導権を取り戻しつつある。患者の健康に関するデータは、患者自身が生み出すからだ」とアテコヤ氏は言う。患者の健康データをいかに迅速に収集するかは「以前から大きな課題となっている」と同氏は指摘。「コネクテッドヘルス」(注1)を具現化したデバイスが、その解決策になり得ると説明する。同氏が想定しているのは、電話や臨床検査データの管理、バイタルサインの測定など、さまざまな機能を兼ね備えたデバイスだ。
※注1 本稿の「コネクテッドヘルス」は、一般消費者向けヘルスケア用ウェアラブルデバイスから、患者のケアとモニタリングを継続するためにインターネット接続を必要とする医療機器まで、ネットワーク接続をする幅広いデジタルヘルス製品およびサービスを活用した医療を指す概念。
第4回は、WMCが実施したネットワーク自動化の導入戦略を紹介する。
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