クラウドを使わない“オンプレミスファースト”がじわり進む理由:“何でもクラウド”時代の終わり【後編】
クラウドサービスのニーズは衰えていないものの、むしろオンプレミスインフラへの積極的な投資が広がるとの見方がある。どういうことなのか。その理由とは。
2023年にはコスト削減のためにクラウドサービスの導入ペースを遅くしたり、一時的に停止したりする企業が増える――。IT市場調査会社のSynergy Research Groupは、こう予測する。その根拠とは何なのか。
クラウドを使わない“オンプレミスファースト”が広がる理由
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連載:“何でもクラウド”時代の終わり
「脱クラウド」「オンプレミス回帰」が進む理由
Amazon Web Services(AWS)では2022年10月から12月末までの四半期に、四半期ごとの売上高成長率が過去最低を記録した。同社は売上高が低迷する理由を「景気後退を受け、ユーザー企業がコスト削減を試みているからだ」と説明する。
ユーザー企業がクラウドサービスへのアプリケーション移行を進める場合、当初試算していた以上にコストが、高く付く場合がある。これは、
- アプリケーションのリファクタリング(動作を変えずに内部構造を書き換えること)に掛かるコスト
- データをクラウドサービスから別のインフラに転送する際のコスト
などに起因する。コスト削減を期待する企業にとっては、クラウドサービスへの移行は逆効果になる場合がある。
一部のユーザー企業はこうした理由から、自社のアプリケーションを当面の間オンプレミスインフラに維持し、オンプレミスインフラの耐久性向上と機能強化に投資を集中させる可能性があるという。クラウドサービスへの投資は続くものの、大手ユーザー企業(エンタープライズ)が投資対象にするクラウドサービスは、コミュニケーションツールやセキュリティツールなどが主になるとSynergy Research Groupは解説する。
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