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「脱パブリッククラウド」が当然のように起きている“意外な理由”APACのCIOが重視するIT分野【第2回】

調査会社IDCの調査によれば、アジア太平洋地域の企業がパブリッククラウドから従来のデータセンターへとシステムを戻す傾向があることが分かった。何が理由なのか。

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 調査会社IDCが「CIO Technology Playbook 2023」と題するレポートを2023年2月に公開した。PCベンダーLenovoと半導体ベンダーAdvanced Micro Devices(AMD)からの委託を受けたもので、APAC(アジア太平洋地域)のCIO(最高情報責任者)とIT意思決定者906人を対象に調査した。この調査によれば、システムをパブリッククラウド(リソース共有型のクラウドサービス)から従来型のデータセンターなど別のインフラへ移行させる動きがある。

“脱パブリッククラウド”が起きているのはなぜ?

 IDCの調査によると、回答者の63%が、過去12カ月の間にパブリッククラウドからプライベートクラウド(リソース専有型クラウド)や従来型のデータセンターにシステムを移行させたと回答した。インフラ全体に占めるパブリッククラウドの構成比は、調査時点の27%に対して、12カ月後も27%と変動がない見込みだ。

 同調査によると、ミッションクリティカル(業務遂行に必要不可欠)なシステムの利用に特徴的な動向がある。2023年から2024年にかけて、ミッションクリティカルなシステムにおけるパブリッククラウドと従来型のデータセンターの利用は、それぞれわずかに減少する。一方、データが発生する場所の近くでデータ処理をするエッジコンピューティングやプライベートクラウドの利用は増加する。

 「レイテンシ(通信の遅延)、各種規制やコンプライアンスがパブリッククラウドの利用が一部で減少する理由になっている」。AMDでAPACおよび日本担当マネージングディレクターを務めるピーター・チェンバース氏はそう指摘する。

 プライベートクラウドの技術が成熟してきたことも、パブリッククラウドの利用をやめる動きの背景にある可能性がある。Lenovoのインフラサービスグループでオーストラリアおよびニュージーランド(ANZ)担当マネージングディレクターを務めるマヌ・メヘラ氏は、次のように指摘する。「業務や要求に合わせてリソースや機能を迅速に調達できるパブリッククラウドの利点は、プライベートクラウドでも得られるようになった」


 第3回は、多様化するシステムをどこにどのように配置すればいいのかをIDCの調査から探る。

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