SSDの熱暴走を食い止める「ヒートシンク」はどこまで“クール”になった?:SSD「オーバーヒート」の原因と対策【第5回】
オーバーヒートからSSDを保護するために重要な役割を果たすのが「ヒートシンク」だ。ヒートシンクを取り巻く動きには、どのようなものがあるのか。適切な冷却方法を選択する上での注意点とは。
過剰な発熱である「オーバーヒート」からSSDを保護するには、SSDを冷却する必要がある。SSDを冷却する最良の方法は、十分で安定したエアフロー(空気の流れ)の確保と、放熱を促す冷却用パーツ「ヒートシンク」の組み合わせだ。ヒートシンクを取り巻く動きを整理しよう。
“クール”さを追い求める「ヒートシンク」の今
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連載:SSD「オーバーヒート」の原因と対策
- 第1回:SSDが熱くなり過ぎる「オーバーヒート」を“甘く見てはいけない”のはなぜ?
- 第2回:SSDはなぜ発熱するのか? “根本的な原因”はこれだ
- 第3回:SSDはなぜ「熱」で遅くなるのか? その“仕組み”はこれだ
- 第4回:「SSDの熱でデータが壊れた」を防ぐ“冷却手段”はこれだ
金属の板を介した熱伝達によって電子機器を冷やす「パッシブヒートシンク」は、密度を高めて表面積を拡大させるなどの進化を遂げてきた。こうしたパッシブヒートシンクの進化において、主導的な役割を担ってきたのがマザーボードベンダーだ。
マザーボードベンダーの取り組みにより、安価なマザーボードでもパッシブヒートシンクを搭載することは珍しくなくなった。マザーボードベンダーによっては、パッシブヒートシンクから、ファンで冷却する「アクティブヒートシンク」へのアップグレードパスを提供することがある。
ヒートシンクを自社製品の差異化要素として活用するのが、ストレージベンダーだ。例えばフォームファクター(大きさや形状の使用)「M.2」に準拠した、ヒートシンク一体型SSDを製造するストレージエンダーがある。放散するための十分な表面積を持たないM.2準拠SSDにヒートシンクを備えることで、放熱をしやすくする。
冷却手段を選ぶ際は“これ”に注意
SSDがオーバーヒートするリスクを考えると、冷却は当然の対策だと考えられる。冷却をすれば、データ読み書き速度などの性能を意図的に落として発熱を抑制する「サーマルスロットリング」に頼らなくてよくなる。
ただし冷却には考慮すべき問題がある。冷却方法を選定する際は、冷却に掛かるコストと、冷却製品が占有するスペースを考慮するとよい。もちろん取り込む空気の温度を、SSDの熱を減らすのに十分なほど低くすることも必要だ。
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