“予算争奪戦”に負けたら駄目だ――悩めるIT部門を救う場所:IT予算確保のための「5つのポイント」【前編】
IT部門が頭を悩ませることの一つが予算確保だ。PCのようなデバイスと違い、ソフトウェアといったすぐには価値が見えにくいものに予算を付けるのは簡単ではない。予算獲得のためには誰にどう働き掛ければよいのか。
最高情報責任者(CIO)や最高技術責任者(CTO)、最高デジタル責任者(CDO)といったIT分野の責任者が、社内でIT向けの予算を獲得するためには、どのような取り組みをすればいいのか。ITコンサルティング企業Nash Squaredが、2022年に公開した年次報告書「Nash Squared Digital Leadership Report 2022」が参考になる。
同報告書は2022年7月〜10月、82カ国1785人のIT部門の責任者を対象に実施した調査に基づいている。本連載は、予算の獲得に取り組む際、IT分野の責任者に着目してほしい「5つのポイント」を紹介する。
1.取締役会での発言権を確保する
IT向けの予算獲得においては、取締役会が鍵になる。予算に限りがある中、業務内容や課題を踏まえて、どのように優先順位を付けてIT予算を確保すべきなのかについて、取締役会ではさまざまな議論が繰り広げられる。Nash Squaredの報告書によると、取締役会に出席していると答えたIT部門の責任者は約65%だった。取締役会に出席するメリットは、出席者に対して実例を踏まえて具体的に提案をしたり、直接議論に参加したりできることだ。
取締役会に出席することはできなくても、間接的に関わることはできる。取締役会に影響力を持つ人物と密接な関係を築くことで、自身の考えを理解してもらい、実現したいことを代弁してもらうことが可能だ。その点では、業務や部署に関係なく自然発生的にできた社内の人脈は重視すべきだ。
社内には、大きな影響力を持つ人物が存在する。その代表格はCEOだ。このような人物と密接な関係を築くことが鍵となる。ただし密接な関係を築けるかどうかは、それぞれの人柄や性格、相性に大きく左右される。両者の間で密接な関係を築くことができなくても、CEOなど影響力を持つ人物が掲げる戦略やビジョンを理解し、それを支援することで、そうした人物から尊敬と信頼を得ることができる。
中編は、取締役にIT投資への関心を持ってもらうため、IT分野の責任者が特にコミュニケーションにおいて気を付けるべきポイントを探る。
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