HDDやSSDの「RAID」の違い RAID 10の特徴や“もう使わないRAID”は?:変化するRAIDの仕組み【第3回】
HDDやSSDのストレージを運用する上では、「RAID」の仕組みを知っておくことが欠かせない。RAIDではさまざまなレベルが定義されている。その仕組みの違いと、使いどころを知っておこう。
「RAID」(Redundant Array of Inexpensive Disks)は、複数台のHDDやSSDを1台のストレージとして運用する仕組みだ。データの可用性や、読み書き速度のパフォーマンスの向上につながる。RAIDには、要件に応じて使い分けることのできるレベルが幾つも定義されている。「RAID 10」など、RAIDをよく知るための基本となるレベルを覚えておこう。
基本的な「RAID」レベルの違い
RAID 10の長所・短所と用途
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連載:変化するRAIDの仕組み
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RAID 10は、RAID 1+0とも呼ばれる。これは、データを複製して複数のHDDに書き込む「ミラーリング」と、データを複数のHDDに分散させて書き込む「ストライピング」のネスト(組み合わせ)だ。通常は最初にミラーリングをして、次にストライピングをする。RAID 10の構成には最低4台のHDDが必要だ。
- 長所
- RAID 10は、RAID 0(ストライピング)を使用するので、パフォーマンスに優れる。データを2台以上のHDDに分散して書き込むことで、処理が高速になる。
- RAID 1(ミラーリング)を使用するので、データ保護の対策ができる。あるHDDに障害が発生して使用できなくなっても、別のHDDにコピーがある。
- 短所
- ストライピングされたデータの一部を失った場合、フェイルオーバー(待機系への切り替え)時に、データへのアクセスのパフォーマンスが低下する可能性がある。
- 最低4台のHDDが必要なので、その分のコストが必要になる。RAID 1と同様に、全ストレージ容量の半分を冗長性確保に使うことになる。
- 用途
- 冗長性とデータ読み書きのパフォーマンスを確保し、ダウンタイム(システムの停止時間)を最小限に抑えたい用途に適する。
- メールサーバやWebサーバ、データベースなど、I/O(入出力)集約型のアプリケーションに適する。
RAID 2
RAID 2はbit単位でストライピングをする。ハミング符号(誤り訂正符号の一種)をパリティ(2進数の誤り検出符号)として使い、エラーを検出する。HDDに書き込まれたデータのチェックサム(データの信頼性を確認するための計算)ができる。パリティは格納するデータと共に書き込まれる。HDDが故障した場合、コントローラーがRAID内のHDDに保存されているパリティを使用して、失われたデータを再作成することができる。
- 長所
- 主要なメリットはデータ保護。ハミング符号を使ったパリティにより、データの冗長性とフォールトトレランス(一部が故障しても稼働を継続できること)を実現する。
- 短所
- 構成が複雑になりがち。専用のHDDを追加する必要があるため、その分がコストが余計に必要になる。
- 用途
- ハミング符号は、ECCメモリ(ECC:Error Checking and Correcting)といった、誤りを検出して訂正する機能を持つ用途に使われている。
- RAID 2はもはやほとんど使われていない。
次回は、「RAID 3」以降のレベルを解説する。
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