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顧客エクスペリエンス向上につながる返品処理 その実現方法とはテクノロジーで変えるネット通販の返品問題【第4回】

オンラインショッピングの普及と共に消費者による商品の返品行動が増加した。商品の発信元である小売業者にとっての改善策にはどのようなものがあるのか。

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 アパレル企業の課題である返品問題を取り上げる本連載の第4回は、テクノロジーを使って返品問題に立ち向かう企業の取り組みを紹介する。その一例が、IBP(統合事業計画)ソフトウェアベンダーのBlue Yonderだ。Blue Yonderは2023年11月、ロジスティクスソフトウェアベンダーDoddle Parcel Services(Doddleの企業名で事業展開)の買収を完了したと発表した。

Doddleを買収したBlue Yonderの狙いとは

 Doddleを買収したことで、Blue YonderはDoddleのサービスを基に「消費者や小売業者が熱望する返品管理サービス」を提供できるようになった。例えば消費者が店舗に出向いたり郵送の手配をしたりせずに、キオスク端末(情報提供のための端末)で返品作業を完結できる「セルフサービス返品キオスク」といったサービスを提供可能になったという。

 Blue YonderのCEOダンカン・アンゴーブ氏は、2023年10月に同社が主催したカンファレンス「ICON London 2023」で、Doddleの功績を語った。具体的には、以下の3要素を組み合わせることで、「他の企業の大半が実現できなかったことを実現した」とアンゴーブ氏は説明する。

  • 商品をサプライヤーやメーカーから倉庫や店舗に輸送するまでの区間(ファーストマイル)
  • 物流の最終拠点から顧客に物品が届くまでの区間(ラストワンマイル)
  • オムニチャネル(さまざまな接点を通じて顧客とコミュニケーションを取る手法)を使った返品処理

 アンゴーブは次のように補足する。「Doddleのサービスが優れている点は、返品の問題をエンドツーエンドで解決する点だ。つまり返品作業の着手や返品時のルール、店舗内での返品処理、セルフサービス返品キオスク、倉庫での返品処理、在庫への戻しといった業務に関するほとんどの課題を解決できるのだ」。加えて「Doodleのサービスは他社サービスとは異なる独自の顧客エクスペリエンスを実現し、サプライチェーンを変革するという当社のミッションを推進する」とも語る。

 原材料の調達や製造、販売や消費の一連の流れを意味するSCM(サプライチェーンマネジメント)に関わる企業間で生じているM&A(合併と買収)の動きにおいては、返品管理機能が中心的役割を果している。2022年5月、物流サービス企業GXO Logisticsが同じく物流サービス企業Clipper Logisticsの買収を完了した。買収に関するプレスリリースによると、Clipper Logisticsを買収したことで、GXO Logisticsは自身の成長分野である返品業務と、消費者から販売元に商品を戻す「リバースロジスティクス」を強化する。

 サプライチェーンソフトウェアベンダーのManhattan Associatesは2023年10月に、フランスでイベント「Exchange 2023」を開催した。その中で、同社でプロダクトマネジメント担当シニアバイスプレジデントを務めるブライアン・キンセラ氏は「オンラインショッピングにおける返品率は一貫して高い。小売業者は考え方を変える必要がある」と説明した。「小売業者にとっての最大のサプライヤーは、商品を返品する消費者だ。それならば、商品が消費者に届く流れと逆に返品される流れ、その流れを最適化する方法を考えてみてはどうだろう」(キンセラ氏)

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