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無線LAN技術「OpenRoaming」と「Passpoint」によるローミングの違いとは?OpenRoamingとPasspoint比較【後編】

無線LAN(Wi-Fi)のローミングの仕組みであるOpenRoamingとPasspointは、一見すると似ている。だがよく見ると幾つもの違いがある。両者を比較する。

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 無線LAN(Wi-Fi)のローミング(異なるネットワークへ接続を切り替えること)には主に2つの規格がある。無線LANの業界団体「Wireless Broadband Alliance」(WBA)が管理する「WBA OpenRoaming」(以下、OpenRoaming)と、無線LAN業界団体「Wi-Fi Alliance」(WFA)が管理する「Wi-Fi CERTIFIED Passpoint」(以下、Passpoint)だ。

 WBAが2023年11月に発表した年次レポート「WBA Annual Industry Report 2024」によれば、2024年末までに47%の組織がOpenRoamingまたはPasspointの導入を計画している。

 OpenRoamingは技術的にはPasspointをベースとしている。両者は類似する点があるが異なる点もある。それぞれどのような仕組みなのか。

「OpenRoaming」と「Passpoint」によるローミングは何が違う?

 OpenRoamingとPasspointには類似点があるものの、両者はほとんどの部分で異なっている。両者を比較したのが以下の表だ。

■表 OpenRoamingとPasspointの違い

項目 OpenRoaming Passpoint
開発元 当初はCisco Systems。その後無線LANのWBAが開発を引き継ぐ WFA
リリース年 2020年 2012年
ベースとなっている規格 WRIXとPasspoint EAP、WPA2、WPA3
セキュリティプロトコル RadSec、AAA(Authentication, Authorization and Accounting) WPA2、WPA3
主な利用場所 スマートシティー 小規模企業、カフェ、ホテルなど
クライアントデバイスに必要なもの 設定とアプリケーションのダウンロード 設定のみ

OpenRoamingとPasspoint、どちらがいい?

 エンドユーザーから見れば、PasspointとOpenRoamingはどちらもWi-Fiローミングを可能にするものであり、似たような技術だ。サービス提供側がどちらを選択するかは、場所、デバイス、予算、ネットワーク要件、利用可能な技術、その他の要因によって異なる。導入を検討している企業や施設運営者は以下の要件を踏まえて選択するといいだろう。

  • 無線LANのカバー範囲
    • OpenRoamingはPasspointよりも物理的に広い地域をカバーできる。自治体の公衆無線LANに適用するならOpenRoamingが、企業の公衆無線LANに適用するならPasspointが適している。
  • ネットワーク要件
    • OpenRoamingの導入にはインターネットサービスプロバイダー(ISP)、IDプロバイダー、施設運営事業者、通信事業者、その他さまざまな関係者と協力する必要がある。PasspointはOpenRoamingよりも関係者が少なくて済む。
  • コスト
    • 基本的にはOpenRoamingの方がPasspointに比べて導入費用が高くなるが、無線LANによるカバー範囲や導入の規模によっては、費用対効果が高くなるとは限らない。

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