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SSDのパフォーマンスを引き出したいならやってはいけない“あれ”SSDを上手に使う4つの方法【前編】

SSDの性能を最大限に生かしつつ、より長く使うには、SSDの特性を理解した運用をしなければならない。SSDの運用における2つのベストプラクティスを紹介する。

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SSD | 半導体ストレージ | 運用管理


 SSDはHDDと比べて、データ読み書きが高速なことが特徴だ。ただし単にHDDをSSDに置き換えただけでは、SSDの実力を最大限に引き出すことはできない。実はSSDには、データ読み書き速度などのパフォーマンスを向上させる上で「やるべきこと」と、むしろ「“やってはいけない”こと」があることを、SSDユーザーは理解する必要がある。

SSDで“やってはいけない”こととは? まずは基礎を確認

 インタフェース規格としてSATA(Serial ATA)を採用するなど、従来技術で構成されたSSDは、内部コントローラーによってデータを管理する必要がある。この作業には克服すべき複雑さがある。

 フラッシュメモリへの書き込みは簡単ではない。データは消去された領域にしか書き込めない、つまりそのブロック内のデータを消去しなければ、古いデータを上書きできないからだ。種類にもよるが、フラッシュメモリは一定回数以上の書き込みで消耗する。

 SSDコントローラーは、書き込む前にデータを消去する動作と、書き込み回数に上限があるという2つの欠点による影響を、ホストOSに及ぼさないように抑えることができる。こうした「隠す技術」はデータのやりとりを複雑にするため、SSDコントローラーの設計者にとっては厄介な仕組みだ。一方でSSDユーザーがフラッシュメモリのこうした性質を知らなければ、SSDの挙動を監視できず、予期しないタイミングで書き込みエラーなどの問題に遭遇する恐れがある。このような問題を防ぎ、適切なSSD管理をするには何が重要なのか。SSD管理のベストプラクティス4つのうち、1つ目と2つ目を取り上げる。

ベストプラクティス1.容量に余裕を持たせる

 SSDの空き容量が少なくなると、データの読み書き速度が遅くなる可能性がある。

 新品のSSDと、ある程度の期間大量のデータを書き込んだSSDは、表示上の空き容量が同じでも、実態は異なる。その違いを把握するには、SSD内部の状態を表す「S.M.A.R.T.(Self-Monitoring, Analysis and Reporting Technology)属性」を調査することが必要だ。

 SSD内部の状況はどうなっているのか。どれくらい消耗しているのか。オーバープロビジョニング(SSDの実際の物理容量に対して、OSやホストマシンに提示する論理容量を少なくする動作)で確保した余剰領域の残量はどの程度か――。S.M.A.R.T.属性を理解すれば、これらの疑問に対する答えが見えてくる。

 S.M.A.R.T.属性の具体的な構成やフォーマットについて、業界で統一された標準はなく、ほとんどのSSDベンダーが独自の構成やフォーマットを用いている。これらを監視することで、システム管理者はSSDの消耗やオーバープロビジョニングに関する情報を得られる場合がほとんどだ。ただしS.M.A.R.T.属性には標準規格がないため、管理を複雑にしないようにするという観点で、複数ベンダーのSSDを同時に使用することはあまり好ましくない。

ベストプラクティス2.SSDをリアルタイム処理が必要なシステムの重要構成要素にしない

 不要なデータを削除して空き容量を増やす「ガベージコレクション」は、完了するまでSSDをハングアップさせる可能性がある、時間のかかるプロセスだ。最悪の場合、この遅延は数秒に及ぶことがある。そのためリアルタイム処理が必要なルーティンは、SSDの遅延で処理が妨げられるシステム構成にすべきではない。

 データを書き込めるページをコントローラーが探し出し、そのページにデータを書き込むことは難しくない。だがSSDの空き容量が少ない場合は、その限りではない。利用可能な空きページが足りない場合もある。その場合はガベージコレクションによって空き領域を確保することになるが、ガベージコレクションによる遅延の元になる。


 次回は、3つ目と4つ目のベストプラクティスを紹介する。

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