安さを理由にDRAMがない「SSD」を買う場合の注意点:構造からSSDを考える【第4回】
SSDにDRAMを搭載しないことでコスト削減などのメリットが見込めるものの、デメリットや導入する際の注意点もある。DRAMレスのSSDを使用する上で知っておくべき注意点とは。
一般的な「SSD」にはデータ読み書きの処理を担うメモリとして「DRAM」(Dynamic Random Access Memory)が付いているが、DRAMがないSSDもある。DRAMを搭載しないことは、幾つかのメリットを生む。注意が必要なのは、こうした「DRAMレスSSD」が適さない企業があることだ。その注意点とは。
「SSD」を“DRAMレス”にすると失敗する場合
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連載:構造からSSDを考える
- 第1回:SSDに“メモリ不要”説 「DRAMレスSSD」とは何か?
- 第2回:SSDにDRAMは本当に必要なのか? “DRAMレス”のすごい利点とは
- 第3回:SSDからDRAMをなくすのが“正解”なこれだけの理由
SSD開発の注目動向
SSDをDRAMレスにすることで、DRAM分のコスト削減が見込めることに加えて、アプリケーションの処理速度を改善できる可能性がある。そのためにはホスト(コンピュータ)と、SSDのNAND型フラッシュメモリの動作をうまくかみ合わせるためのチューニングが必要で、それにはコストがかかる。ホストがSSDとうまく同期するためには、SSDの設計に合わせたソースコードの記述が必要になるからだ。
一般的な企業の場合、システム全体を制御するソフトウェアをSSDの設計に合わせてカスタマイズするには、相当の開発コストが必要になる。実現はほとんど不可能だと言っていい。
何万台ものサーバを運用するハイパースケーラー(大規模なデータセンターを運営する事業者)は、一般的な企業とは状況が異なる。仮に開発コストが100万ドルかかったとしても、5万台のサーバそれぞれで年間100ドルのコスト削減が見込めるのであれば、差し引き400万ドルのコスト削減になるのだ。
利点を見いだせるとしても、SSDをDRAMレスにすることが常に正解になるわけではない。DRAM搭載SSDを必要とするアプリケーションもある。こうしたアプリケーションの処理速度を改善する上で有効になる可能性があるのが、相互接続プロトコル「Compute Express Link」(CXL)に準拠した新しいタイプのSSD(以下、CXL接続SSD)だ。
CXLは、電源供給がなくてもデータを失わない永続性メモリで、高速なデータ転送速度を実現するように設計されている。CXL接続SSDは、内部に大容量DRAMを搭載することで、データ転送速度の不足分を補うことが可能だ。この設計には、ハイパースケーラーも興味を示すと考えられる。
第5回は、DRAMレスSSDのメリットを追求しやすい用途の代表例を紹介する。
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