いまさら聞けない「ソブリンクラウド」とはどんなクラウドなのか?:ソブリンクラウドの長所と短所【前編】
世界各国で、データに関する法規制が強化されている。データを扱う企業や政府機関は、エンドユーザーの安全に対する期待に応えるため、ソブリンクラウドに注目し始めている。
データに関する法規制は、企業に特定の司法管轄区域(法令やガイドラインが適用される地域)にデータを保存することを求めることがある。その要件を、全てのクラウドサービスが満たせるとは限らない。その要件に違反した企業は、営業停止といった法的措置や罰金の対象になることもある。
この懸念を軽減するために、クラウドサービスベンダーは「ソブリンクラウド」の提供を始めた。ソブリンクラウドとは何か。必要とされる背景と併せて解説する。
「ソブリンクラウド」とはどんなクラウド?
調査会社IDCは、2027年までにソブリンクラウドに対する支出総額は世界各国で2585億ドルに達すると予測している。調査会社Gartnerもソブリンクラウド市場が成長すると見込んでいる。
ソブリンクラウドではないクラウドサービスでは、国境や司法管轄区域に対する配慮が不十分だ。そうしたクラウドサービスではストレージやコンピューティングなどの各種リソースが分散して別の場所に配置される結果、データに関する法規制や自社の方針に抵触する恐れがある。
これに対してソブリンクラウドは、特定地域におけるデータ保護の要件を順守できるように、リソースを特定の境界内に限定して提供する。
プライベートクラウドサービスは顧客専用のハードウェアとサービスを用意できるが、ソブリンクラウドが提供する「データの移動を制限する」などの機能があるとは限らない。
ソブリンクラウドは一般的に、以下を保証する。
- データの保存場所
- データの収集および保存を特定の境界内に限定する
- データ保護に関する規制の順守
- クラウドサービスを運用する地域の法律を順守する
- アクセス制御
- 許可されたユーザーのみがデータにアクセスできる
- セキュリティ
- データの暗号化、暗号鍵の制御、監視などによってデータを保護する
次回はソブリンクラウドが企業にもたらすメリットについて解説する。
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