いまさら聞けない「WAN」と「GAN」の違い ネットワークの範囲は地球全域?:定番から応用までネットワークを学ぶ【第3回】
ネットワークは規模や用途によってさまざまな種類に分類される。特に広い範囲のネットワーク接続を指す「WAN」と「GAN」について詳しく見ていこう。
ITの根幹を支えるネットワークは、コンピュータ同士を接続し、情報をやりとりする仕組みだ。その種類は多様であり、ネットワーク担当者はそれぞれの用途に合わせた設計や管理が必要となる。「WAN」(ワイドエリアネットワーク)と「GAN」(グローバルエリアネットワーク)を解説する。
LANとは違うWANのメリットとは
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連載:定番から応用までネットワークを学ぶ
ネットワークは違いを明確に
WANは広域通信網という意味で、都市や国といった広い範囲にわたって複数のネットワークを接続する仕組みのことだ。定義上は地球上のいかなる場所にも拡張する。例えば、ニューヨークにオフィスを構える企業が同じWAN内でロンドン支社のLANにあるデータにアクセス可能だ。WAN内のどの拠点の従業員も、社内のデータ、ファイル、アプリケーションにアクセスして相互にコミュニケーションを取ることができる。
WANの主な特徴は以下の通りだ。
- 広いカバレッジ(通信可能エリア)
- WANに明確な広さの基準はないが、LAN(ローカルエリアネットワーク)より広くなる。時としてMAN(メトロポリタンエリアネットワーク)よりも広くなる
- 多様な通信手段
- 電話回線、光ファイバー、衛星通信などさまざまな通信手段や規格のネットワークが接続する
- 構成が複雑
- LANなど複数のネットワークを接続するため、構成が複雑になり管理も難しくなる傾向にある
WANの主なユースケースは以下の通りだ。
- 企業の拠点間接続
- 本社や拠点、工場、物流拠点などを接続し、データの共有や遠隔地の業務連携を可能にする
- クラウドサービスへの接続
グローバルエリアネットワーク(GAN)
現在、明確なGANの定義はないが、衛星通信を利用して世界各国をカバーするネットワークをGANと呼ぶことがある。WANとGANの主な違いはそれぞれのネットワークに意図される範囲にある。WANは地理的に分散するLANを相互接続するのに対し、GANは地球全体をカバーできるように設計されている。
GANの主な特徴は以下の通りだ。
- 世界規模のカバー範囲
- 人工衛星を利用することで、地上に通信インフラが整備されていない地域でも通信できる可能性がある
- 移動性
- 衛星通信を利用するため、移動体でも通信が可能だ
GANの主なユースケースは以下の通りだ。
- 多国籍企業による支店や工場の接続
- モノのインターネット(IoT)
- 離島、へき地などネットワークインフラを構築することが難しい地域での利用
次回はクラウドネットワークについて紹介する。
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