データセンター設備の進歩【前編】
高負荷サーバ“狙い撃ち”も常識に 「データセンター冷却」の基礎知識
コンピューティングやストレージの需要の変化とともに、データセンター設備にも進化が見られる。効率的な冷却や、温度監視について押さえておくべき基礎知識を紹介する。
最新のデータセンターは、以前よりもはるかに洗練されている。人工知能(AI)技術を活用するためのより強力なコンピューティングや、データ量増加に対処するためのより多くのストレージが求められる中では、冷却や電力、メンテナンスなどさまざまな面でデータセンター設備を進化させる必要がある。その基礎知識として、本稿ではまず効率的な冷却や、温度監視のポイントを押さえておこう。
冷却の基本となる「ホットアイル」と「コールドアイル」
現代のデータセンターのほとんどは、「ホットアイル」(熱い空気を逃がすための通路)と「コールドアイル」(冷たい空気のための通路)の隔離効果を最大化するために、気流を分ける「コンテインメント」(囲い込みの方法やそのための部材)を採用している。コンテインメントとしては、ホットアイルまたはコールドアイルを封じ込めるためのパネルやビニールカーテン、ドアなどが使われる。
コンテインメントは、サーバラックの上部と天井の間にしっかりと収まるものでなければならない。ドアは自動閉鎖式で、空気の温度と循環を調整するために密閉性が高いものであることが望ましい。サーバラックの底面は、空気が漏れないようにしっかり密閉してあるべきだ。新しいサーバラックを設置する場合は、密閉性を維持するために再度コンテインメントを実施する必要がある。
ブランクパネルとブランクシート
サーバラックの空いたスペースは、全てブランクパネル(空きスペースを埋めるためのパネル)で埋める必要がある。小さなスペースであれば、1U(ユニット)や2Uのブランクパネルで埋めることができるが、大量に購入するとコストがかさむ可能性がある。
27Uのブランクシートであれば、ブランクパネルを個別に購入するよりも経済的になるはずだ。ブランクシートは1U単位で切り込みが入っているため、適切なサイズにカットして使いやすい。ブランクシートは、特に将来的な増強のために空きサーバラックを用意してあるデータセンターで役立つ。
ブランクパネルやブランクシートを使用することで、冷気と熱気がサーバラック内を適切に流れるようになる。そうした対策が取られていない場合、データセンター内での熱気の循環が増え、空調設備がより頻繁に作動する原因となる。
温度モニタリングと冷却
データセンター内の温度上昇も注目すべき変化の一つだと言える。背景にあるのは、サーバの高密度化によってコンピューティングリソースの負荷が増大していることだ。温度上昇の原因は増加するIT機器だけではなく、電力と冷却の設備にもある。
効率的にデータセンターを運用するには、部屋全体の温度を監視しておく必要がある。最新のサーバラック用電源タップには、温度と湿度のセンサーが装備されており、電源と同じネットワーク接続で温度や湿度を監視することができる。そうしたセンサーは、IT機器の前後に設置する。こうすることで、部屋全体の温度状態のデータを明確に表示することができる。センサーの結果は、システムに接続されたモニターに表示される。サーバラックに設置する温度計は、機器の表面温度を監視する機能を備えている。
コールドアイルでは一般的に24℃程度が適温とされている。ASHRAE(米国暖房冷凍空調学会)が定めるガイドラインでは、データセンター室内の適温の範囲は18~27℃となっている。これはIT機器が安定して稼働できる温度だ。ホットアイルでは35℃程度まで温度が上昇する可能性がある。
温度センサーが適切に設置されていることは、エネルギー消費の効率性を保つ上で重要だ。例えばサーバラックの列ごとの冷却をする「インロー型」の冷却を採用していれば、必要な部分だけを局所的に冷やすことで無駄な冷却を減らすことができる。不必要な温度変動が生じるのはエネルギーの無駄だと言える。
後編は、電力や防火、設備のメンテナンスなどに関する最新の基礎知識を紹介する。
TechTarget発 世界のインサイト&ベストプラクティス
米国TechTargetの豊富な記事の中から、さまざまな業種や職種に関する動向やビジネスノウハウなどを厳選してお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
TechTarget発 世界のインサイト&ベストプラクティス
米国TechTargetの豊富な記事の中から、さまざまな業種や職種に関する動向やビジネスノウハウなどを厳選してお届けします。
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社うるる] 「入札市場」攻略ガイド:効率的に落札するためのポイントを徹底解説 -
製品資料
[株式会社うるる] 入札情報に特化した「販路拡大」「効率化」のためのサポートツールとは? -
市場調査・トレンド
[株式会社うるる] 公共入札に成功する企業と失敗する企業の「5つの違い」 -
製品資料
[日本ビジネスシステムズ株式会社] 専門家が教える、Microsoft 365の「テナント統合/分離」を成功に導く秘訣 -
製品資料
[rakumo株式会社] Microsoft 365での情報埋没を防ぐ、社内ナレッジを資産化する情報ポータル活用
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
半数がブルーカラー転向を視野に? ベテランエンジニアを追い込む“54歳の壁”
-
2
PHP脆弱性「PHP2Shell」で2260万件に影響 情シスの緊急チェックリスト
-
3
「Microsoft 365」が乗っ取られる MFAを破る“本物の画面”の恐怖
-
4
「Windows」の不要なファイルを安全に消して容量を空ける方法
-
5
なぜ「Gemini 4 Argon」は出遅れたのか? Googleが狙う“逆転のシナリオ”
-
6
ChatGPTは“検索しまくり”でGeminiは“淡泊”? データが明かすAIの裏側
-
7
「テザリング依存」に潜む落とし穴 “遅いVPN”を解消するネット構築術
-
8
積水化学工業が「SAP S/4HANA Cloud」の“全グループ導入”に踏み切った訳
-
9
データセンター事業者が「脱VMware」をした“例のライセンス問題”じゃない理由
-
10
OpenAIやAnthropicでさえ制御不能 2026年夏「3大サイバー攻撃」の衝撃
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
AI駆動攻撃にどう対抗する? 超速の攻撃からエンドポイントを保護する方法
-
2
2026年のサイバーセキュリティには何が必要か? 最新データに学ぶ傾向と対策
-
3
経験豊富な即戦力人材に直接アプローチできる、「攻めの採用」への転換術
-
4
「IT史に名を残すシステム障害」8選
-
5
最速72分でデータが流出? 最新の脅威トレンドや侵入手法から分かった防衛策
-
6
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
7
Microsoft 365のメールセキュリティ、3つの“死角”と追加で検討すべき対策とは
-
8
AI駆動開発のスピードと安全性を両立 「品質・セキュリティ管理」の実践ガイド
-
9
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
-
10
「標的型攻撃メール」事例・サンプル集
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー