データセンター冷却入門【前編】
データセンター冷却の6大原理とは? 「機械式冷却」の基礎知識
年間を通してデータセンターの効率的な運用を維持するには、適切な冷却手段によって効果的に排熱する必要がある。主要な冷却手段である「機械式冷却」の仕組みを理解する上で、欠かせない基本事項を解説する。
データセンターで運用するハードウェアは熱を発生させる。効率的にデータセンターを運用するには、ハードウェアの過度な熱を取り除く必要がある。一般的には、冬季に低気温の外気で冷水を作り出し、冷却に利用する「フリークーリング」が用いられる。
年間を通してデータセンターを運用する際は、何らかの冷却装置を使用して熱を排除する「機械式冷却」(メカニカルクーリング)が必要になる。冷却条件を適切に設定し、電力消費を最小化し、システムの可用性を確保し、システム運用の信頼性を高めるために、機械式冷却が欠かせない。
冷却を理解する6つの原理
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まず冷却の基本を理解することが重要だ。冷却は次の6つの原理に基づいている。
- 熱を取り除く際は、熱を運ぶ媒体によって熱を外部に移動させる必要がある。空気、水、冷媒といった流体を媒体にして熱を取り除く。
- どのような冷却システムでも、気流を必要とする。通常、ファンが気流を作る。
- 熱は高温部から低温部に移動する性質がある。このため熱の放出元となる媒体の温度は、熱の放出先となる媒体よりも高温である必要がある。2つの媒体の温度差(TD:Temperature Differential)が大きいほど、熱は移動しやすい。機械式冷却は、人工的に大きな温度差を作り出す機械的な冷却の仕組みだと考えればよい。
- 熱を運ぶ媒体のうち、主に気化熱(液体が気化する際に吸収する熱量)によって温度を下げるために利用される「冷媒」は、温度の変化によって液体から気体へ、気体から液体へと状態を変える。水は同じ体積の空気と比べて約3500倍多くの熱を吸収するため、熱を運ぶ媒体として使われるが、一般的な冷媒と異なり状態が簡単には変わらない。
- 冷媒は一般的に沸点が低いため、ハードウェアが発する熱で気化する。だが空気や水に熱を伝えるほど十分に高温にはならない。
- 気体は体積が一定の場合、圧力が高くなると温度が上がり、圧力が低くなると温度が下がって液化する性質がある。一般的な機械式冷却はこの法則を利用し、気体を圧縮して高圧状態にしたり、液化させたりする「コンプレッサー」(圧縮機)が心臓部となる。
機械式冷却の原理
屋内の空気から低温の外気に熱を移動させるのが、最も単純な冷却の仕組みだ。水を使ったフリークーリングは、まず室内の空気から水に熱を移動させ、さらに水から外気に熱を移動させる。こうした簡単な仕組みの場合、ファンやポンプを動かすだけの電力があればよい。
冷媒を使用する機械式冷却では、より多くの熱が移動する。機械式冷却の原理は次の通りだ。
- ハードウェアが発した熱がファンによって送り出され、冷却作用を持つ「エバポレーター」(蒸発器)に取り込まれる。エバポレーターを通過する冷媒は、取り込んだ熱によって液体から高温の気体に変化する。その過程で生じた冷気を、ファンによってハードウェアに取り込む。
- 冷媒を急速に膨張させて低圧にする「エキスパンションバルブ」(膨張弁)が、ハードウェアの発熱に応じてエバポレーターへの冷媒の流入量を調整し、エバポレーター内の全ての冷媒が液体から気体になるようにする。エキスパンションバルブが故障すると、冷媒が過剰に流入して冷却効率が低くなる。
- コンプレッサーが気体の冷媒(冷媒ガス)の温度と圧力を高める。
- 熱は高温の冷媒ガスか、冷媒ガスから熱を移動させた水など別の媒体によって外部に運ばれる。
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