Gartnerがエッジコンピューティングやマイクロデータセンターの重要性を強調する中、専門家はその潜在的な利用場面の検討を進めている。ただし対処すべき課題もあることから、導入は難しい決断となる可能性がある。
多くの企業においてデータが爆発的に増加している現状から、IT部門はエッジコンピューティングへの関心を強めている。
エッジコンピューティングは、データをデータソースやエンドユーザーの近くで処理することによってレイテンシを低減する手法であり、マイクロデータセンターはその実現方法の1つだ。マイクロデータセンターはエッジデータセンターとも呼ばれ、通常はサーバやストレージ、無停電電源装置(UPS)、冷却装置など、必要なインフラ要素を全て収容したモジュール型のシステムをいう。IoT(モノのインターネット)機器から大量のデータがデータセンターに送られるようになる中、Gartnerが最近ラスベガスで開催したデータセンターカンファレンスでは、このエッジコンピューティングとマイクロデータセンターという2つの概念が中心的なテーマとなった。
「素早いレスポンスを必要とするIoTデバイスや4K動画を生成するIoTデバイスの爆発的に増加に伴い、トラフィックが激増しており、そうしたデータを全て中央集中型のクラウドに集約する意味はなくなっている」とGartnerの調査担当副社長ボブ・ギル氏は語る。
ギル氏はエッジコンピューティングの重要性を説くに当たり、ドワイト・D・アイゼンハワー第34代米国大統領が推進した高速道路網の建設が、米国中西部の衰退しつつある地域社会に及ぼした影響を引き合いに出した。高速道路網が整備されたことで、さもなければ商取引の機会を失っていたであろう町が、経済成長が見込まれる都市と容易につながることができたという。それと同様、企業はマイクロデータセンターについても、オフィスや倉庫、工場の生産現場、コロケーション施設など、どこであれその価値を最大限に発揮できる場所に設置することが可能だ。
「エッジのことを考慮に入れずに、中央集中型のクラウドモデルとデータセンターとコロケーション施設だけでインフラを構築すれば、3〜4年後には最適とはいえないインフラに依存していることになるだろう」とギル氏は語る。
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