高性能計算を支えるスーパーコンピュータも、将来的な活躍が期待される量子コンピュータも、万能ではない。両者の問題点を整理しながら、コンピューティングの未来を考える。
「スーパーコンピュータ」は科学から産業分野まで、さまざまな高性能計算の用途に使われている。同様に複雑な計算処理の担い手として、将来的にはスーパーコンピュータの計算能力を大きく上回る可能性のある「量子コンピュータ」がある。ただしどちらのコンピューティング技術も万能ではない。コンピューティング技術がこれからどう進化するのかを探るに当たり、あえて両コンピューティング技術の問題点を整理する。
スーパーコンピュータは主に次の4つの問題点に直面している
量子コンピュータには次のような問題点がある。
2019年にGoogleが量子プロセッサ「Sycamore」を発表して以来、IT企業(MicrosoftやIBMなど)や国家がこの分野に投資する動きが広がっている。量子コンピューティングはまだ初期段階にあるが、かつては不可能と考えられていた問題の解決を可能にする存在として、科学研究では将来的に不可欠なツールになると期待されている。2026年までには従来型コンピュータでは不可能なタスクを量子コンピュータで実行できるようになるとする支持者もいる。
スーパーコンピュータの未来には、毎秒100京以上の計算を実行できるエクサスケールコンピューティングがある。気候モデリングや創薬といった分野でのブレークスルーをさらに後押しするだろう。電力効率は、人間の脳をモデルにするコンピューティング手法「ニューロモルフィックコンピューティング」や、プロセッサや冷却技術の改良によって改善する可能性がある。
スーパーコンピュータの計算能力は、クラウドコンピューティングによってより利用しやすくなる。同時に、並列プログラミングの進化によって複数タスクの同時実行が可能になる。「ラフェンプロセッサ」や「フォトニックプロセッサ」といった次世代のプロセッサがハードウェアに革命をもたらす可能性もあり、その結果としてスーパーコンピュータの高速化やコンパクト化が進む可能性がある。
最終的にスーパーコンピュータに量子プロセッサが組み込まれれば、どちらか一方だけの計算能力では処理できない複雑な問題を解決できる量子スーパーコンピュータが生まれる。それはさまざまな業界におけるブレークスルーにつながると期待できる。
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