「最大1万人再編」で揺れるSAP “痛み”の先に見える“進化”とは?:組織再編を進めるSAP【後編】
SAPが2024年、最大1万人規模の人員整理を発表した。専門家によると、再編は悪影響をもたらす恐れがある一方、必ずしも悪くない効果もあるという。どのような影響があるのか。
SAPは2024年1月、約8000人の従業員を対象とした人員整理を発表した。2023年の業績が好調だったが、人工知能(AI)技術関連の事業に注力するためだ。2024年7月には再編計画を改め、対象を最大1万人に拡大すると発表。大部分は希望退職か、リスキリング(新しい知識やスキルの習得)の対象になる見通しだ。専門家は、再編は悪影響をもたらす一方、必ずしも悪くない効果もあるとみる。
「最大1万人再編」の“悪くない効果”とは?
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ITコンサルティング会社Enterprise Applications Consultingの創設者ジョシュア・グリーンバウム氏は「SAPのように規模が大きく地位を確立したベンダーは、才能ある人材を引き付けられる」と述べる。一方、人員整理によって「組織の制度的な記憶(人々が共有する経験や知識)が失われた」とも主張する。
従来の組織の記憶が失われることは必ずしもネガティブなことではない。「組織の記憶は資産であると同時に障害にもなり得る。古い考え方は、新しいアイデアに対する反発を生む可能性がある」とグリーンバウム氏は述べる。
しかし「誰が退社するかに関係なく、人事異動は業務上の混乱を招く」とグリーンバウム氏は指摘する。「業務に関するノウハウやユーザー企業、パートナーとの関係性を維持することが重要だ。企業は戦略の方向性や協業体制など、事業の根幹になる要素の一貫性を保たなければならない」とグリーンバウム氏は述べる。
企業分析フォーラムdiginomicaの共同創業者ジョン・リード氏は、組織再編が従業員のモチベーションを損なうことを懸念する。「SAPには長年勤務している人もいる。2025年、さらなる人員削減や買収を実施すれば、従業員からの信頼回復がいっそう困難になる恐れがある」とリード氏は述べる。
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