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FlashArrayの新製品は「性能2倍」 オブジェクトデータの取り扱いも可能にPure Storageの新構想「EDC」【後編】

Pure Storageはストレージの新しい構想「Enterprise Data Cloud」(EDC)を打ち出し、その一環として、ハードウェアの新製品も投入している。どのようなものなのか。

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 オールフラッシュストレージベンダーのPure Storageは、2025年6月にラスベガスで開催したイベント「Pure//Accelerate 2025」で、複雑化しているデータ管理をしやすくするストレージ構想「Enterprise Data Cloud」(EDC)を発表した。同社はこのイベントで、ソフトウェア戦略の刷新だけではなく、それを支えるハードウェアの新製品も披露した。

PureStorageが発表した新ハードウェアの実力とは

 新製品の一つは、Pure Storageのオールフラッシュストレージ「FlashArray」シリーズの新モデル「FlashArray//XL R5」だ。同社によると、FlashArray//XL R5は、1ラックユニット当たりのIOPS(1秒当たりの入出力数)を従来の2倍に増やす他、物理容量を最大50%増加させている。

 もう一つの新製品「FlashArray//ST」は、レイテンシ(転送要求を出してからデータが届くまでの待ち時間)が低いシステムでの利用に特化したモデルだ。具体的にはデータベースをメインメモリ内に保持する「インメモリデータベース」、大量のログ書き込み、サーバを増設して処理性能を高める「スケールアウト」型の「NoSQL」データベース(非構造化データを扱うデータベース)などの用途に適する。

 FlashArray//STの処理速度を支えるのが機能の取捨選択だ。データ保護のためのスナップショット(ファイルやストレージのある時点の状態を記録したもの)とレプリケーションの機能を備えつつ、重複排除といった一部の機能をあえて削ぎ落としている。

 Pure Storageによると、FlashArray//XL R5とFlashArray//STは2026年をめどに、ブロックとファイルに加え、オブジェクトデータ(データと関連情報をセットにしたデータ形式)も一元的に管理できるようになる見込みだ。オブジェクトデータはより一般的な形式になりつつあり、そのための管理機能を組み込むことで新製品の用途を広げる狙いがあると同社は説明する。

 調査会社Forrester Researchのアナリストのブレント・エリス氏によれば、Pure Storageは、NetAppといった他の主要なストレージベンダーと比べ、データの分析や保護といった機能をストレージ自体に組み込む段階にはまだ至っていない。ただし同氏は、Pure Storageの取り組みをある程度評価しており、次のように述べる。「Pure Storageはオブジェクトストレージの需要が高まっていることを認識しており、今回の新製品を機に、オブジェクトデータ管理機能の提供に取り組んでいる」

 この方針に懐疑的な見方もある。ITコンサルティング会社Silverton Consultingの創設者レイ・ルッケシ氏は、「そもそもオブジェクトストレージにフラッシュメモリほどの性能は不要な場合がほとんどだ」と指摘する。「費用や拡張性を考えれば、従来型のハードディスクやクラウドサービスの方が適している」と同氏は考えを示す。

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本記事は制作段階でChatGPT等の生成系AIサービスを利用していますが、文責は編集部に帰属します。

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