オンサイトとクラウドの“いいとこ取り” 「ハイブリッドバックアップ」4種:「オンサイトバックアップ」の要点【後編】
バックアップデータの保管場所は、クラウドサービスがいいのか、自社インフラがいいのか――。その二者択一だけではなく、両方を組み合わせるという手もある。どのような組み合わせ方があるのか。
バックアップデータの保管先として、クラウドサービスを利用してバックアップデータを離れた場所に保管する「オフサイトバックアップ」と、自社のインフラを用いてバックアップデータを社内に持つ「オンサイトバックアップ」の選択肢がある。両者を組み合わせてハイブリッドな手法を採用することも可能だ。ハイブリッドバックアップを実現する4つの組み合わせパターンについて、それぞれの概要とメリット/デメリットを紹介する。
1.オンサイトバックアップとパブリッククラウド
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連載:「オンサイトバックアップ」の要点
バックアップの知識を深めるには
この組み合わせでは、NAS(ネットワーク接続ストレージ)やSAN(ストレージエリアネットワーク)、バックアップサーバなどに主要なバックアップデータを保管する。加えて、「Amazon Simple Storage Service」(Amazon S3)や「Azure Blob Storage」、「Google Cloud Storage」といったクラウドストレージを利用して、社外にもバックアップデータを複製する。
利点
- オンサイトのバックアップサーバからの迅速なデータ復旧
- オンサイトの設備がサイバー攻撃、火災、盗難などの被害に遭っても、遠隔地でデータを保護できる障害耐性
- クラウドサービスの強みである、データ容量に応じた従量課金制での拡張性
欠点
- 大容量のデータをクラウドストレージに定期的に転送する際に広域な帯域幅(通信路容量)が必要
- クラウドサービス利用に伴う継続的な支出
使用例
法律事務所が、迅速なデータ復旧のためにオンサイトのNASに毎時データをバックアップしつつ、災害復旧のためにAmazon S3に毎晩データをバックアップする。
2.オンサイトバックアップとプライベートクラウド
この組み合わせでは、オンサイトデータは社内のバックアップストレージに保管し、その複製データを企業が管理するプライベートクラウドに保管する。
利点
- データセキュリティを自社で管理可能
- 厳しいコンプライアンス要件への準拠
- クラウドベンダーで発生するトラブルの回避
欠点
- 初期費用と維持費が高額になる可能性
- 物理的な制約による拡張の限界
使用例
医療機関がデータ保護規制を順守するために、オンサイトストレージにデータをバックアップするとともに、盗難や火災の影響を受けない、自組織内の遠隔サーバにバックアップデータを複製する。
3.クラウドサービスとの同期機能を持つオンサイトの専用アプライアンス
この組み合わせでは、DattoやDruva、Axcient、Unitrendsといったバックアップベンダーが提供する、バックアップ専用のアプライアンスを用いる。このアプライアンスが、オンサイトでのバックアップと、クラウドサービスへの自動的なデータの複製、暗号化を実施する。
利点
- 導入と初期設定のしやすさ
- 自動化による運用のしやすさ
- オンサイトのバックアップサーバからの迅速な復旧と、クラウドサービスを使った災害復旧の両方を実現
- ランサムウェア(身代金要求型マルウェア)攻撃対策などのセキュリティ機能
欠点
- 特定のバックアップベンダーが提供する製品/サービスへの依存(ベンダーロックイン)
- アプライアンス利用に伴うサブスクリプション費用の発生
使用例
小売業者がDattoのバックアップアプライアンスを使用して、POS(販売時点情報管理)システムのデータを15分ごとにオンサイトでバックアップする。併せて、毎日クラウドサービスにバックアップデータのコピーを作る。
4.ローカルキャッシュを併用するクラウドバックアップ
RubrikやCohesityなどのバックアップツールベンダーが提供するバックアップツールは、クラウドストレージへのバックアップを基本としつつ、データ復旧を迅速化するためにユーザー企業内にキャッシュ用サーバを設置する。これらを組み合わせることで、頻繁に使うデータの復旧を高速化する。
利点
- クラウドストレージへのデータ転送の最適化による、帯域幅の効率的な使用
- キャッシュを利用した迅速な復旧
- バックアップデータの一元的な管理
欠点
- システム構成の複雑さ
- 導入費用
使用例
ソフトウェア開発会社が、Rubrikのクラウドバックアップツールを使用して仮想マシン(VM)をクラウドサービス群「Microsoft Azure」にバックアップする。同時に、開発プロジェクトのデータを迅速に復旧するために、直近のデータを社内のキャッシュに保持する。
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本記事は制作段階でChatGPT等の生成系AIサービスを利用していますが、文責は編集部に帰属します。