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AWSの障害で「CTP」議論が白熱 英国の「重要な第三者」指定とは?障害の詳細も明らかに

AWSの大規模障害が影響を及ぼしたのは、ユーザー企業だけではない。英国の財務委員会は、AWSが「重要な第三者」(CTP)に指定されていない現状について、財務省に説明を求めた。

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 2025年10月20日午前0時頃(米太平洋夏時間、日本時間では同日16時頃)から、Amazon Web Services(AWS)の米国東部(バージニア北部)リージョン(US-East-1)内において、複数のクラウドサービスで障害が発生した。この動きに呼応して、英国では「重要な第三者」(Critical Third-Party、以下CPT)を巡る議論が活発化している。CPTとは何か。障害の「全体像」も含め、解説する。

CPTとは、AWSとの関係は?

 この障害では、「Snapchat」や「Signal」といったソーシャルメディアや通信サービス、「Amazon.com」や「Alexa」などさまざまなサービス以外にも、英国の政府機関、歳入関税庁(HM Revenue & Customs:HMRC)が影響を受けた。

 この事態を受けて英財務委員会(Treasury Committee)は2025年10月20日(英国時間)、AWSがCTPとして指定されていない実態について英財務省(HM Treasury)に説明を求める書簡を公開した。

 CTPは、英国の金融システムに不可欠なサービスを提供する事業者を、政府と金融規制当局が監督対象とする制度。2025年1月1日に施行された。サードパーティーの障害が英国の金融システム全体の安定性や耐障害性に及ぼすリスクを軽減することを目的としている。

 AWSは、英国の金融サービス業界にクラウドサービスを提供する主要ベンダーの一つだ。しかし、同社をはじめとするクラウドベンダーはCTPに指定されていない。そこで、英財務委員会は英財務省に説明責任と今後の規制方針の明示を求めている。

障害の全体像は?

 AWSが公開した事後分析レポートによると、今回の障害は複数のインフラ構成要素で順次問題が連鎖し、段階的に障害が拡大した。

 最初の障害は、同社のデータベースサービス「Amazon DynamoDB」で発生した。APIのエラー率が上昇し、約3時間にわたって断続的に障害が生じた。

 続いて、US-East-1内の一部のネットワークロードバランサー(NLB)で接続エラーが増加した。これについてAWSは、「NLBのヘルスチェックエラーが原因で、接続エラーが増加した」と説明している。

 さらに、「Amazon Elastic Compute Cloud」(EC2)でインスタンスの起動時に問題が発生し、約9時間問題が継続した。

 DynamoDB、EC2、NLBでの障害が波及し、US-East-1内で稼働していた他のAWSサービスにも連鎖的な影響が及んだという。

 AWSは「今回の運用上の事象を受け、複数の改善措置を講じている。今後も全てのAWSサービスにおいて詳細を検証し、同様の事象による影響を回避し、復旧時間をさらに短縮できるよう取り組む」と説明した。

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本記事は制作段階でChatGPT等の生成系AIサービスを利用していますが、文責は編集部に帰属します。

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