Column
AjaxはいかにしてWebを席捲したか
Ajaxは実のところDHTMLにすぎないが、このインパクトのある名称と、Webでデスクトップアプリケーションに匹敵する快適でフレンドリーなユーザーインタフェースを提供できるというメリットが人気に火を付けた。
「2006年最高のAjaxイベント」という触れ込みで5月上旬にサンフランシスコで開催されたThe Ajax Experience。開幕基調講演では聴衆から、このイベントは今年が初めてなのかという質問が飛んだ。
講演者のベン・ガルブレイス氏(コンサルタントで数冊の著作があり、同イベントのスポンサーに名を連ねるエイジャックシアンドットコムの共同創設者)は即座にこう答えた。「Ajaxカンファレンスを昨年開いても、成功は望めなかっただろう」。つまり、人が集まらなかっただろうということだ。
Ajaxは、Webアプリケーションのリッチでデスクトップライクなユーザーインタフェースを、非同期JavaScriptとXML(Asynchronous JavaScript And XML)を使って提供する技術アプローチを説明するために、コンサルタントのジェシー・ジェイムズ・ギャレット氏が作った言葉だが、昨年の今ごろはまだ知る人ぞ知るというものだったと、ガルブレイス氏は語った。
「2006年最高のAjaxイベント」という触れ込みで5月上旬にサンフランシスコで開催されたThe Ajax Experience。開幕基調講演では聴衆から、このイベントは今年が初めてなのかという質問が飛んだ。
講演者のベン・ガルブレイス氏(コンサルタントで数冊の著作があり、同イベントのスポンサーに名を連ねるエイジャックシアンドットコムの共同創設者)は即座にこう答えた。「Ajaxカンファレンスを昨年開いても、成功は望めなかっただろう」。つまり、人が集まらなかっただろうということだ。
Ajaxは、Webアプリケーションのリッチでデスクトップライクなユーザーインタフェースを、非同期JavaScriptとXML(Asynchronous JavaScript And XML)を使って提供する技術アプローチを説明するために、コンサルタントのジェシー・ジェイムズ・ギャレット氏が作った言葉だが、昨年の今ごろはまだ知る人ぞ知るというものだったと、ガルブレイス氏は語った。
ガルブレイス氏と共同講演者のディオン・アルマー氏も1年前には、昨年のJavaOne ConferenceでのプレゼンテーションにAjaxの用語説明を盛り込む準備に追われていた。
ガルブレイス氏がウェスティンセントフランシスホテルの大会場をほぼ埋めつくした聴衆に語ったように、その後2人はAjaxに関するブログを開設し、それがわずか数カ月で、Ajaxに取り組む開発者のWebコミュニティー、Ajaxian.comに発展した。
このソフトウェア技術のこれまでの躍進の勢いは、スタートして10秒で時速100kmに加速した車のように猛烈なものだったと言える。
ガルブレイス氏が聴衆の質問に答えて語ったとおり、1年前にはAjaxカンファレンスを開くことはとても考えられなかった。だが状況は様変わりし、ガルブレイス氏とアルマー氏の講演には、Ajaxに関する情報収集に熱心な開発者が多数詰めかけた。
ガルブレイス氏は、Ajaxが一気に台頭した一因は、Ajaxが、DHTML(Dynamic HTML)というそっけない略語に代わる、インパクトの強い言葉であることにあると認めた。DHTMLは1997年から使われてきた技術の名前だ。
「われわれエンジニアは皆、Ajaxという言葉の中身は、それほど画期的なものではないことを知っている。Ajaxは実のところDHTMLにすぎない。だが、われわれが今回のカンファレンスを『The DHTML Experience』という名前にしていたら、誰も来てくれなかっただろう」
だが同氏は、AjaxインタフェースがDHTML以上の機能を提供することを可能にしている技術的発展が、1997年以降にあったことにも触れた。ガルブレイス氏によると、2002年にMozilla FoundationがXHR(XMLHttpRequest)をMozillaブラウザに実装したが、このことは注目されなかった。
XHRによるリッチクライアントの可能性は、Googleの開発者がXHRを用いてGoogleマップのようなリッチなブラウザクライアントアプリケーションを実現するまで、「発見されなかった」と同氏は聴衆に語った。
つまり、比較的新しいWebサービス技術、キラーアプリケーション、そして目立つ名前のおかげで、Ajaxは1年ちょっとの間にソフトウェアの世界で一大現象になったというわけだ。
さらにガルブレイス氏は、Ajaxが非常にエキサイティングな理由はほかにもあると指摘した。Ajaxが登場する前の2004年まで、Web開発者は、技術的制約のせいで創造性を発揮しきれない状況にうんざりしていた。開発者は、エンドユーザーが次のステップに進もうとするたびに、HTMLページのリフレッシュを待たなければならないWebアプリケーションしか作ることができない中で、最善を尽くしていた。
「しかし結局のところ、われわれ開発者はうんざりしていた」(同氏)
そこへAjaxが登場し、Webアプリケーションでデスクトップアプリケーションに匹敵する快適でフレンドリーなユーザーインタフェースを提供することが、にわかに実現可能に見えるようになった。Web開発者やデザイナーは活気づき、Webアプリケーションの可能性を改めて模索し始めた。
しかし、ガルブレイス氏とアルマー氏は、Ajaxにもやはり技術的制約があると指摘した。さらにリッチなクライアント体験を実現できるようにする技術的ブレークスルーは、まだ当面起こりそうもないというのが両氏の見方だ。
また両氏は、マイクロソフトがWindows Vistaのリリースにより、デスクトップアプリケーションの機能性を拡張すると予測している。AjaxがWebアプリケーションのリッチなユーザーインタフェースの開発を可能にすることから、マイクロソフトは、「超リッチなUI」(ガルブレイス氏)を用意して市場での優位性を守ろうとすると見られるという。一方、アドビシステムズのFlash技術が、開発者がAjaxでできることを広げそうだ。
ガルブレイス氏とアルマー氏は、マイクロソフトとアドビが開発者の心をつかもうと繰り広げる競争は見ものだろうと語った。
両氏は講演の最後に、Ajaxを進化させる技術的ブレークスルーが幸いにも当面は起こりそうもないため、Web開発者は、学んだことがすぐに通用しなくなることを心配せずに、現在の制約の中でAjaxに取り組めると述べた。また、近いうちに多くのソフトウェアベンダーから、開発者の作業を容易にするAjaxツールがリリースされるだろうとの見通しも示した。
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