Interview
サーバ仮想化の神話と現実
サーバの仮想化が流行中だが、実際に人員や経費が大幅に削減できたり、ダウンタイムがなくなるのだろうか。仮想化のプロに聞いた。
サーバの仮想化は今、流行りの技術であるが、企業がこの技術を利用することによって実際に何ができるのかという点については大いに議論の余地がある。インテグレーション企業のエクセデックスでCTO(最高技術責任者)を務めるデビッド・ペイン氏は、戦略を開発/実行する企業の支援業務を専門とする。
サーバの仮想化によって人員や経費を大幅に削減できるのか、仮想化に向かないアプリケーションはどんなものかなど、同氏の経験に基づく意見を聞いた。
サーバの仮想化は今、流行りの技術であるが、企業がこの技術を利用することによって実際に何ができるのかという点については大いに議論の余地がある。インテグレーション企業のエクセデックスでCTO(最高技術責任者)を務めるデビッド・ペイン氏は、戦略を開発/実行する企業の支援業務を専門とする。サーバの仮想化にまつわる同氏の経験談を聞いた。
―― サーバを仮想化することによってスタッフの数を減らすことができると考えているITマネジャーは多いと思いますが、ハードウェアの統合は人員削減につながるのでしょうか。
ペイン それはよくある誤解です。われわれが仕事を請け負った企業の場合、ハードウェアの管理に多くの時間をかけているのでなければ、大幅な人員削減にはつながらないのが実情です。今日、サーバ仮想化の分野で最も広く利用されている手法がサーバの統合です。物理サーバの数を減らしながら、各サーバ上で動作するOSの数を増やすというものです。
―― サーバ仮想化は大幅な経費節減をもたらすという楽観的な見方が多いようですが、これはどこまで真実ですか。
ペイン コスト削減という意味では、まだまだ不十分です。仮想化のコストは下がり続けていますが、無料になったわけではありません。仮想化に伴うコストも無視できません。むやみやたらと多くの仮想マシンを立ち上げようとする企業もあります。
仮想環境を立ち上げたある顧客の場合、アプリケーションの1つで10個の仮想マシンが必要だと言っていました。開発から検証、品質保証、製造に至るまでのソフトウェア開発サイクルに対応するためです。
仮想マシンも無料ではありません。まず、Windowsのライセンスがあります。サーバリソースも必要とします。物理マシンを購入する必要もあります。1個の仮想マシンのコストは、物理マシン1台の約3分の1です。
また、業務で運用するほかのアプリケーションと同様、日常的なメンテナンスや定期的なメンテナンスも必要です。OSのメンテナンスもしなければなりません。新しいアプリケーションをサポートするスタッフを再トレーニングする必要もあります。
―― 仮想化するのが難しいのは、どんなアプリケーションですか。
ペイン 何でも仮想化できるといった大雑把な言い方は不正確です。仮想化製品もさまざまです。ヴイエムウェアのESX Serverもあれば、Microsoft Virtual ServerやXen、Virtual Ironなどもあります。これらはどれも似通っていますが、性能や機能の面で違いがあります。
すべてのプラットフォームが仮想化をサポートするわけではありません。仮想マシンのコンテナのサイズや、どんな種類のアプリケーションが仮想化できるのかといったことを検討する必要があります。作成可能な仮想マシンのサイズによって制限を受けるからです。ESXを巨大なサーバにインストールできるかもしれませんが、仮想マシンの能力は、そのコンテナのサイズによって制約されます。
マイクロソフトのSQL Serverは、膨大な処理パワーを必要とします。重いディスクI/O処理を仮想マシンに任せるのは無理です。ホストマシンが処理できる負荷でも、仮想マシンでは処理できないこともあります。Exchangeの場合で言えば、Exchangeの背後にあるデータベースが問題となります。このデータベースもI/O処理を多用するのです。
しかし、こういった状況も変化しつつあります。現状では、上に述べたようなコンピュータ処理を仮想化するのにはコストが掛かり、結局、十分なパフォーマンスが得られないというケースが多々あります。しかしESX Serverの新バージョンでは、コンテナのサイズが2倍になりました。ネットワーク技術やハードウェア技術の改良も進んでいます。インテル、IBM、HPは、それぞれ新しいハードウェアプラットフォームをデザインしています。
仮想化は、ハードウェアの性能を限界まで引き出すキラーアプリケーションです。ハードウェアベンダー各社は、仮想化技術をチップに組み込もうとしています。デュアルコアやマルチコアも登場しました。これらは非常に仮想化と相性が良いのです。また、インテルのVTおよびAMDのPacificaは、ソフトウェア処理をシリコンレベルで実行するというもので、これはパフォーマンスの飛躍的な増大をもたらすでしょう。
―― 仮想化でダウンタイムがなくなるという主張についてはどう思いますか。
ペイン ヴイエムウェアは、仮想化でダウンタイムがなくなると、しきりに宣伝しています。同社のVMotion(動作中の仮想マシンをホストサーバ間で移動することを可能にするソフトウェア)は素晴らしい技術であり、これにより定期的なシステム停止がなくなります。しかしVMotionもパッチ適用時には役に立ちません。パッチを適用する際には、ゲストOSを再起動する必要があるのです。ですから、VMotionでシステム停止が完全になくなるわけではありません。週末の作業がなくなることもありません。週明けにはやはり再起動する必要があります。
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