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WANの冗長化:バックアップ回線のためのルータ
バックアップWAN回線が必要になった場合、ルータは1台にすべきか2台必要か? 重要なのは、実際の冗長性要件を理解することだ。
2つの拠点間で冗長性を確保するためのバックアップWAN回線が必要になった企業がしばしば直面するのが、各回線に1台ずつ、計2台のルータを配備すべきなのか、それとも両方の回線を1台のルータに接続すべきなのかという問題である。ここでは、この判断を左右すると思われる幾つかの要因を検討する。
最も重要なのは、自社の実際の冗長性要件をしっかりと理解することである。ネットワークの可用性に関する社内の期待を適切に設定する必要があるからだ。これは、「イエスかノーか」という二元論的な記述(例えば、「Xというネットワークコンポーネントは冗長である(もしくは冗長でない)」など)を設計時点で指定するのではなく、アップタイムの割合(例えば、「フォーナイン(99.99%)あるいはファイブナイン(99.999%)の可用性がある」など)といった形で表現される連続体のどこかに設定される目標としてとらえるべきである。なぜなら、あなたの設計の意味するところを社内で知っているのは、多分あなただけだからだ。
障害が時々発生するが、迅速かつ簡単に原因を突き止め、サービスを復旧することができる非常にシンプルな非冗長型ネットワークを設計することもできれば、2~3台のデバイスに障害が発生しようとも、めったにサービスが停止することがないような非常に複雑な冗長型スキームを設計することもできるだろう。しかし後者の場合、いったんダウンすると、問題を特定するのに時間がかかり、結果、サービスの停止が長期化することになる。
そこで問題になるのが、あなたの会社の場合、1年で何度か発生する短時間のサービス停止を我慢するのと、年に1度の大規模かつ厄介なサービス停止を受け入れるのでは、どちらを選ぶのかということである。
冗長性に関して言えば、必ずしもすべてのネットワークコンポーネントを「冗長的に」あるいは「非冗長的に」設計する必要はないことを理解すべきである。通常は、両者を組み合わせるというのが最適解である(もちろん、ランダムな組み合わせではない)。
最初に、各コンポーネントの平均故障間隔(MTBF)をベンダーに問い合わせる必要がある。サーバには冗長電源と冗長HDDを使用するのが一般的だ。サーバ用コンポーネントで最も故障しやすいのが電源とHDDだからだ。ルータとスイッチでも、電源は比較的信頼性が低いが、スーパーバイザーモジュールが故障することはほとんどない。ラインカードの信頼性は、この中間あたりに位置する。このため、冗長電源を備えた1台のルータは、2台のルータよりも冗長性に関する費用対効果がはるかに高いといえる。それでも、極めて可能性が低いコンポーネント障害であっても、リスクを冒したくないという企業もあるだろう。
冗長回線/ルータに話を戻そう。まず、自社の冗長性要件の1つとして多様性が含まれるのであれば、冗長ルータが不可欠となる。というのは、2つの物理的位置で回線を終端させる必要があるが、1台のルータを2カ所に配置することはできないからだ。多様性という要件が存在しないのであれば、次の問題は、2番目の回線をアクティブ/アクティブモードまたはアクティブ/パッシブモードのどちらで使用するのかということだ。WANプロバイダーからバックアップ帯域に対する料金割引を受けられるのであれば(MPLS、フレームリレー、ATMなどのマルチアクセスネットワークでは割引は一般的だが、専用回線の場合は一般的ではない)、アクティブ/パッシブモードを選択すべきであり、迷う必要はない。しかし割引がないのであれば、料金を支払っている帯域を使用したいと思うのは当然だろう。
例えば、2本のT1回線を持っているのであれば、やや複雑な構成になるが、両方を同時に使用することによって帯域幅を2倍にすることができる。両回線が同一のルータで終端しているのであれば、これらを結合する(IMAまたはMultilink PPP)ことにより、2本の1.5Mbps回線を1本の3Mbps回線として利用することができる。しかし両回線が異なるルータに接続されている場合、それぞれの回線を通じてトラフィックを送ることはできるが、どのTCPフローの速度も1.544Mbpsを超えることはできない。つまり、ルータが1台でも2台でも、購入した3Mbpsの帯域をすべて使い切ることはできるが、個々のユーザーにとっては、1台のルータで回線が終端している方が、やや高いパフォーマンスが得られるということだ。
しかしルータを1台とする構成で障害が発生した場合、帯域幅が突然、3Mbpsから1.5Mbpsに低下するという事態を招く恐れがある。企業によっては、これはネットワークの停止に相当するかもしれない。1.5Mbpsというパフォーマンスが許容できなければ、現在、2本の回線を引いていても、それは冗長であるとはいえないのである。このことに注意しなければならないのは、現在は1.5Mbpsしか必要としなくても、1年後にはトラフィックの増大に伴って問題が露呈する可能性があるからだ。
もう1つの選択肢としては、2台目のルータを購入し、これをコールドスペアとして、すぐに運用できるよう準備しておくという方法もある。これはあまり洗練されたやり方ではないが、可用性に関する本格的なSLA(Service Level Agreement)に対応できる可能性は十分ある。
選択肢はたくさんあるが、あくまで自社の要件が判断の基準であることを忘れてはならない。
本稿筆者のトム・ランカスター氏は、ネットワーク業界で15年の経験を持つコンサルタントで、CCIEおよびCNXの資格を有している。ネットワーキングに関する著作(共著)もある。最近の著作としては、「CCSP: Secure PIX and Secure VPN Study Guide」(Cybex)がある。
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