Step by Step
仮想化導入ガイドPart2 キャパシティプランニング
前回は、仮想化すべきサーバの選び方を<a href="http://techtarget.itmedia.co.jp/tt/news/0608/25/news01.html">紹介した</a>。このPart2で見ていくのは、仮想化導入で要となるプロセス、キャパシティプランニングだ。
この連載の前回の記事「適切な対象サーバの特定」では、仮想化導入プロジェクトの最初のフェーズ、つまり、仮想インフラに移行する物理サーバの最適な候補を決定するフェーズについて説明した。前回見たように、すべてのサービスを仮想化できるわけではなく、一部のサービスは、仮想化するには特別な注意を払う必要がある。また前回は、仮想化の対象候補を特定する作業に役立つソリューションの検討も行い、こうしたソリューションはまだあまり市場に出回っていないことが分かった。
この連載の前回の記事「適切な対象サーバの特定」では、仮想化導入プロジェクトの最初のフェーズ、つまり、仮想インフラに移行する物理サーバの最適な候補を決定するフェーズについて説明した。前回見たように、すべてのサービスを仮想化できるわけではなく、一部のサービスは、仮想化するには特別な注意を払う必要がある。また前回は、仮想化の対象候補を特定する作業に役立つソリューションの検討も行い、こうしたソリューションはまだあまり市場に出回っていないことが分かった。
どのサーバを仮想化するかを決定したら、プロジェクト全体で最も重要な次のフェーズに移る。それが今回焦点を当てるキャパシティプランニングだ。
キャパシティプランニングとは
キャパシティプランニングとは何を意味するのか。そして、このフェーズが仮想化導入プロジェクトで最も難しいのはなぜか。このフェーズでは、物理マシンを仮想化してどのように物理ホスト群に配置するかを検討するとともに、それらのリソースの棚卸しを行い、プロセッサの種類、メモリのサイズ、大容量ストレージの規模と種類、予備マザーボードのアーキテクチャなどを明確にする。
これらの物理マシンは、計画された仮想マシンの稼働を支える必要があり、一部に障害が発生しても継続して機能しなければならない。さらに、プロジェクトの要求に応じて容易にスケールアップできなければならない。
中程度の複雑さのプロジェクトでは、選択の対象となるハードウェアには物理サーバだけでなく、1つ以上のストレージデバイス、ネットワークデバイス、ネットワークカード、ケーブルも含まれる。すべての要素を慎重に選択する必要があり、パフォーマンスニーズの観点だけから選択してはならない。ハードウェアに関する決定は、ROI(投資利益率)を計算し、プロジェクトを実施する価値があるかどうかの判断を行う次のフェーズに影響を与える。
コア当たり仮想マシン数の計算
ハードウェアのサイジングを行う上で極めて重要な値として、VM/コア(コア当たりの仮想マシン数)がある。
個々の仮想プラットフォームには、期待されている平均パフォーマンスレベルが必ずある。仮想プラットフォームの平均パフォーマンスレベルは、選択されたハードウェアから独立した幾つかのファクター、例えば仮想化エンジンの最適化の度合いや、仮想マシンの予想負荷などに影響される。1つのコア(シングルコアプロセッサの場合は1CPU)が無理なくサポートできる仮想マシンの数は、こうしたファクターによって決まる。このため、ヴイエムウェアのESX Server 3.0を利用する場合と、マイクロソフトのVirtual Server 2005 R2を利用する場合とでは、VM/コアの値は、同じホスト上でもまったく異なることがある。
ここではVM/コアの値を具体的に示さないが、それは、この値に影響する可能性があるファクターが非常に多いため、1つの製品について確定的な値を挙げるのが極めて困難だからだ。仮想化ベンダーもその目安をほとんど提供できていない。例えば、ヴイエムウェアは、同社のESX Serverではコア当たり最大8つの仮想マシンを、同社のVMware Server(旧称:GSX Server)では最大4つの仮想マシンを稼働させることができるとしている。だがこうした数字は、ホスティングされるアプリケーションの技術(COBOLで書かれたレガシー会計ソフトウェアは、効率的なものとは言えない)やI/O負荷のようなファクターによって、もっと大きくも小さくもなる。しかし、VM/コアの値は、非常に不確定なものではあるが、仮想化プロジェクトの最も重要な参照基準であり、製品比較に不可欠だ。ただし、製品比較ができない場合もある。この記事の執筆時点で、マイクロソフトはVirtual Server 2005 R2のVM/コアの推計値をまだ提示していない。
VM/コアの計算が必須であること以外にも、念頭に置かなければならないことがある。仮想化の場合は、1つの物理サーバに1つ以上の役割を割り当てられるということだ。これは、仮想マシンのサイジングを物理サーバの場合と同様な方法で行うのは、最善策ではないことを意味する。
仮想マシンをどのように統合するか
複数のホストマシンを使用する場合のありがちな間違ったアプローチは、仮想マシンを物理的な配置と同じ考え方で統合するというものだ。例えば、すべての実運用マシンをあるホスト上で仮想化し、すべての開発用マシンを別のホスト上で仮想化するといったアプローチがこれに当たる。こうした間違いの主な原因は2つある。論理的な秩序と考えられるものを保ちたいという自然な欲求と、物理的な配置は提供されるサービスと厳密に対応しているという、典型的な文化的固定観念だ(後者の考え方は、グリッドコンピューティングの普及発展とともに徐々に薄れていくだろう)。
こうしたアプローチでは通常、統合度が不適切なものになり、アーキテクトは実運用のための幾つもの仮想マシンを同じホストに詰め込み、テスト段階で、膨大なサービス要求でマシンが過負荷に陥ることに気付く羽目になる。一方、利用率が低い仮想マシンが稼働する別のホストでは、コンピューティング時間の多くが無駄になってしまう。
キャパシティプランニングでは、どのようにサービスを組み合わせて配置すればリソースが有効に活用されるかを見極め、仮想マシンをバランスよくホストに割り当てることが非常に重要だ。この作業では、幾つかのサービスファクター、例えば1日の各時間帯での予想ワークロード、要求される物理リソースの種類、ワークロードが激しく変動する傾向などを考慮しなければならない。
これらのファクターが増大したり、まったく変わったりするなど、時とともに変化することがあるのは明らかだ。このため、キャパシティプランナーはワークロードの変化を予測する必要もある。そしてエンタープライズ管理の中で、仮想環境の管理者は、環境の変化に応じて仮想マシンを再配置しなければならない。
ここまでで十分複雑に思われるかもしれないが、まだ最も重要な値が計算に入っていない。それは各サービスの「許容できる」パフォーマンスレベルだ。これは一般に、キャパシティプランニングで最も見過ごされている点だ。その背景には、仮想化されたアプリケーションは常に最高のパフォーマンスを発揮するという思い込みがある。実際には、最適な配置を行った場合でも、各ソフトウェアアプリケーションで許容できるパフォーマンスを得るには、それぞれに一定の物理リソースを割り当てる必要がある。
キャパシティプランニングでは、ワークロードのさまざまな組み合わせのシナリオを考慮し、すべてのサービスでそれぞれに期待されるパフォーマンスを確保できる配置の選択肢を検討しなければならない。
キャパシティプランニングを容易にするツール
こうした作業は至難の業に見えるが、幸い、その一部は近いうちに容易になる見通しだ。すべての仮想インフラが、仮想マシンをワークロードに応じてシームレスかつ動的に、さまざまなホスト間で移動できるようになるからだ。ヴイエムウェアは、そうした環境を実現するDistributed Resource Scheduler(DRS)という機能を新製品のVMware Infrastructure 3(ESX Server 3.0やVirtualCenter 2.0とも呼ばれる)で提供し始めた。マイクロソフトも開発中のVirtual Machine Managerツールで同様の機能を提供する見込みだ。
また、キャパシティプランニングの特定の作業に利用できる既存の製品やサービスも幾つかある。
最も早くから提供されており、最も包括的と思われるものが、現在の市場リーダーであるヴイエムウェアのコンサルティングサービスだ。これは同社のCapacity Plannerツールを使って行われるもので、200サーバまで対応しており、サービスは2万2000ドルの固定料金で提供されている。Capacity Plannerツールの最大の強みは、さまざまな業務アプリケーションの平均パフォーマンスの値を収めた巨大なデータベースだ。Capacity Plannerはこれらの値を基に、最適な配置を提案できるだけでなく、物理レベルまたは仮想レベルで問題となるアプリケーションを識別できる。
ベンダーがこうしたツールを顧客向けに提供しているケースもある。ヒューレット・パッカードのHP Microsoft Virtual Server Solution Sizerや、サン・マイクロシステムズのConsolidation Toolは注目すべき機能を備えている。どちらの製品も無料で提供されているが、特定のサーバのサイジング専用に調整されている。
前回の記事でも触れたプレートスピンのPowerReconが、ワークロード配分の検討を支援する最もコスト効果の高いソリューションと思われる。この製品の新しいConsolidation Planning Moduleは、業務アプリケーションの平均パフォーマンスに関するデータベースは備えていないものの、ヴイエムウェアのCapacity Plannerで提供されるそれ以外の機能と同様の機能を提供する。この製品の最大の売り物は、プレートスピンのP2V(物理環境から仮想環境への)移行ツールと統合されていることだ。このツールは、プロジェクトの早い段階で行われる一連の作業の成果を論理的に統合し、P2V移行に役立てることができるもので、この連載のPart4で詳しく取り上げる予定だ。
次回Part3では、キャパシティプランニングの主要な結果から、プロジェクトの経済的価値がどのように導き出されるかを説明する。その数字がプロジェクトの採算性を判断する基準になる。
本稿筆者のアレサンドロ・ペリリ氏は、自称「サーバ仮想化のエバンジェリスト」で、大きな影響力を持つブログ、virtualization.infoを2003年に立ち上げた。ITセキュリティ/仮想化アナリスト、書籍の著者、カンファレンススピーカー、企業研修の講師として活動している。セキュリティ技術分野のマイクロソフトMVP(Most Valuable Professional)の受賞経験がある。同氏の保有資格は、CISSP(公認情報システムセキュリティプロフェッショナル)、MCT(マイクロソフト認定トレーナー)、MCSES(マイクロソフト認定システムエンジニア:セキュリティ)、CompTIA Linux+、CCSI(チェックポイント認定セキュリティインストラクター)、CCSE+(チェックポイント認定システムエキスパート+)、CCNA(シスコ認定ネットワークアソシエイト)、CCA(シトリックスMetaframe XP認定アドミニストレーター)など。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
急増する「AIはこう言ってる」マン 判断を狂わせる「AI忖度」を防ぐには?
-
2
取手市がVDIと決別した理由 更改費用「4倍超」を約1.7倍に圧縮
-
3
「Excel至上主義」の終わらせ方 丸2日の手作業地獄から情シスと現場を救うには
-
4
221人調査で分かった「情シス最大のストレス」は?
-
5
「データストレージの活用方法」に関するアンケート
-
6
「AI時代の統合基盤・エンタープライズAI管理」に関するアンケート
-
7
自宅のWi-Fiが「遅い」「途切れる」本当の原因は? Dellが推奨する鉄則
-
8
本当に安いPCで十分か? “すぐ重くなる”を防ぐノートPC選びの絶対条件
-
9
100億円の「Linux更新」を回避 みずほ銀行が選んだ“おきて破り”のRHEL延命策
-
10
Claudeの不可視透かしに批判殺到 著作権消失や誤判定に潜む企業リスク
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
年収2000万「クラウドセキュリティのプロ」になれる資格とは
-
2
セキュリティソフトをすり抜ける標的型攻撃メール、不審メールの見破り方とは?
-
3
Windows Updateの通信集中で回線が逼迫、ネットワーク刷新事例に学ぶ解決策
-
4
財務を戦略的組織へ進化させるAI活用術、4つの主要な障壁と解消方法
-
5
「NAS」「SAN」「DAS」は何が違う? いまさら聞けないストレージの基礎
-
6
“あのファイル転送”で暗躍するノーウェアランサム
-
7
標的型攻撃メールを見破るには? サンプル文面を例に傾向を解説
-
8
商用利用の安全性を確保し大量のコンテンツを高速で生成する、AI活用の秘訣
-
9
マンガで解説、1日で生成AI環境を構築できるワークショップの中身とは?
-
10
Dark AIが台頭する時代の新発想、「より高度なAIで対抗する」具体的方法とは?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー