Case Study
自動応答にはうんざり――必ず人間が応対するコールセンター
社員数80人のデータ復旧サービス会社ドライブセーバーズでは、せっぱつまって電話してくる顧客のために、必ず人間が応答することにしている。こうした動きは一部の中小規模の企業でも見られ、ITベンダーもそのニーズに応えようとしている。
スコット・ガイダーノ氏は、IVR(Interactive Voice Response:音声自動応答システム)の応答や、延々と続くダイヤルトーンの入力要求には、以前からうんざりしていた。
ガイダーノ氏が勤務するデータ復旧専門企業、ドライブセーバーズ・データ・リカバリーが、こういったシステムを使っていないのもそのためだ。
「約20年前にこのビジネスを始めたが、その当時でも800局番(フリーダイヤルサービス)は、電話をかける側にとって非常に使いづらい代物だった。この状況は年々悪化しているように思える」とガイダーノ氏は話す。
ガイダーノ氏の見解は決して特殊ではない。シティバンクの以前のコマーシャルシリーズは、自動電話システムに対して多くのコンシューマーが感じているいらだちを表していた。ある男性が電話で口座番号を入力しようとしている間に、キッチンで火災が発生するバージョンもあれば、その男性が列車内から携帯電話でようやく本当の人間と通じたと思ったら、乗っている列車がトンネルに入ってしまうというものもある。
ポール・イングリッシュ氏は、コンシューマーが顧客サービス担当者と直接話をすることができるダイヤルトーン入力順序を数百社の企業についてリストしたWebサイト「GetHuman.com」を作成したことで有名になった。イングリッシュ氏は現在、マイクロソフトと共同で、顧客サービス電話システム用の「GetHuman」標準を開発中だ。
ドライブセーバーズの顧客は、延々と続くダイヤルトーンオプションのメニューに悩まされることはない。同社の顧客は通常、何らかの緊急事態に遭遇して電話をかけてくる。火災の後でデータ復旧の手助けを求める人も多いという。「これは、顧客からの電話に対して、生身の人間が素早く応答しなければならないことを意味する」とガイダーノ氏は話す。ドライブセーバーズには約80人の従業員がおり、ガイダーノ氏自身も含め、あらゆる従業員が電話に応対する。同社が配備しているフィルタリングシステムは、最初に着信コールを約25人の着信営業担当者のグループに回す。1~2回の呼び出し音の間にこの25人が応答できなかった場合には、約20人のメンバーで構成される別のグループに転送される。このグループは電話応対以外の仕事も抱えており、彼らが対応できないときには、技術者らが応対し、その次は経営幹部が応対するという順序になっている。
「ボイスメールで応答するのではなく、2~3回の呼び出し音の後、人間の声で応答するという方針を徹底した」とガイダーノ氏は話す。
もちろん、顧客からの電話への応対を経営陣にまで求めるのは、どの企業でもできることではない。
コンサルティング会社のカスタマーズインコーポレーテッドの経営パートナーであるリズ・ローチ氏は、「CEOが電話に出るというのは大きな宣伝効果があるが、CEOの時間の使い方としては最善とは言えない。巨大な顧客ベースを持っている企業では、そのような選択肢はないだろう」と話す。
ローチ氏によると、顧客(特に価値の高い顧客)を特定し、その顧客に最も適切に対応できる社内のスタッフに着信電話を回すようにすることが、CRMの最大の目標の1つだという。しかし、技術がまだ追いついていないのが実情だ。
「現在の技術レベルでは、企業には二者択一の選択肢しかない。つまり、あらゆる顧客をIVRに回すか、あらゆる従業員が受付担当になるかのどちらかだ」(同氏)
全員が受付担当であるドライブセーバーズは、就職希望者の電話応対スキルに特に注意を払わなければならないことになる。
「新規従業員を採用するに当たっては、製品について説明して注文を取る能力があるかどうかを確認するようにしている。通常の面接を行った後で、応募者に電話で話をさせ、話し方や、調子、どんなときに俗語を使うかなどをチェックする。これで応募者の約30%がふるい落とされる」とガイダーノ氏は話す。
ドライブセーバーズへの問い合わせは通常、診断的な内容の会話になり、同社では1日に1000件ほどの問い合わせ電話を受けることもある。多くの企業の着信コールの数は、それよりもずっと少ないが、それでも企業各社はコールセンターを拡張し、全社組織との連携を実現しようとしている。こういった動きは一部の中小規模の企業でも見られ、ITベンダーもそのニーズに応えようとしている。例えばシーメンスは、社内にいる専門家を特定し、彼らが応対できるかどうかを確認する機能を備えたコラボレーションツールをリリースした。
「顧客から電話をもらえるのはありがたいことであり、電話で直接話せるのは大きなビジネスチャンスだ。頼むから、電話に出てくれ!」(ガイダーノ氏)
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