Case Study
シスコからオープンソースのルータに移行するITマネジャーたち
専門技術者がおらず、経営層もコンサルティング費用を出し渋り、結局シスコのルータを使いこなせなかったイントリンシティは、オープンソースの代替製品への置き換えを検討している。
ITマネジャーの中には、シスコシステムズのルータを取り払い、それをオープンソースのルータで置き換える可能性を真剣に検討している人もいるようだ。オープンソースルータは、市場で支配的なプロプライエタリ製品よりも安価であるが、能力的には引けを取らないと語るITプロフェッショナルたちがいる。
半導体企業のイントリンシティでITマネジャーを務めるマイルズ・オニール氏は、社内のシスコ製ルータをオープンソースの代替製品で置き換えるという方針を検討している。同氏は、自称オープンソースルータ企業のヴィヤッタは、「Open Flexible Router」(OFR)でシスコ製品のユーザーに狙いを定めていると考えている。
「社内のシスコ製ルータをオープンソース製品でリプレースすることを真剣に検討している」とオニール氏は話す。同氏の会社はもともと、Linuxのiptablesをベースとしたファイアウォール/ルータをシスコのルータでリプレースしたといういきさつがある。
「われわれはシスコのルータを使いこなしていなかった。社内に専門技術者がおらず、勉強する時間もなかったからだ。経営層も、ルータの設定に掛かるコンサルティング費用を支払うことに難色を示した」と同氏は話す。
この問題に対し、オニール氏は1カ月内にシスコのルータを取り払い、ヴィヤッタのOFRアプリケーションを導入するか、社内で独自にBSDアプリケーションを開発する可能性が高いとしている。
とはいえ、オニール氏はシスコ製品をすべてお払い箱にするつもりはなく、当面は、社内のCisco VPNコンセントレータだけを取り除く予定だという。「メンテナンスの更新時期がきた段階で、継続するかどうか考えるつもりだ」と同氏。
ブラジル証券取引委員会のネットワーキングアナリスト、リカルド・ファルコン氏によると、オープンソースのネットワーキングに関する話題を耳にすることが多くなったことに「大喜び」しているという。「この状況は、企業にとっても政府機関にとってもオープンソースが現実的な選択肢になったことを示している」と同氏は話す。
ある企業のネットワーク管理者を務めるクレイトン・フォルター氏も、オープンソースのネットワーク技術に大きな可能性があるとみている。「オープンソースが将来、この分野で競争しない理由は見当たらないが、一般企業での使用に耐えるような本格機能を備えた安定版が登場し、バグが取り除かれるまでには、1年以上かかる可能性がある」とフォルター氏は話す。同氏によると、その過程では、ルーティングプロトコルが異なる場合が多い大規模ネットワークに導入する必要性も生じるという。
「最大のハンディは、本格的な商用ルータがASICやオプティカルメモリなどを使って85%のハードウェアアクセラレーションを実現していることだ。オープンソースが競争するためには、主要ベンダーがそういったハードウェアを提供する必要がある」とフォルター氏は話す。
境界部のネットワークセキュリティアプライアンスに関しては、オープンソースのネットワーキング製品がプロプライエタリなネットワーキングキットに取って代わる可能性が十分にある、とフォルター氏は考えている。こういった分野では、専用のハードウェアは、絶えず変化するスパムやマルウェアを駆除するという限定的な役割を果たすだけでよいからだ。
専用ルータ構成の利用形態として非常に興味深いのは、DEC(現ヒューレット・パッカード)の元システム管理者だったブライアン・ミシニック氏が採用した手法だ。DECに在籍していたとき、ミシニック氏とそのチームは、古いUNIXミニコンピュータをルータとして利用したのだ。
「このルータは、開発グループのUNIXワークステーション群とニューハンプシャー州ナシュアにあった技術施設の主要ネットワークバックボーンとの間に置かれ、カスタマイズによって機能を縮小したULTRIX(DECが開発したUNIXの1ブランド)を搭載した古びたMicroVAX II(80年代に製造されたDECのマシン)で管理していたのを覚えている」と同氏は振り返る。
その後、DECがより大規模なネットワークに移行したとき、ミシニック氏は商用ネットワーキング機器を何台か使用することになった。しかしそのときでも、オープンソースの世界とUNIXの世界の間でソフトウェアをやりとりする目的だけに用いられていたファイアウォールは残されたという。
「われわれは技術者だったので、何でも自分たちのやり方で行った。しかし実際のところ、誰かがLinuxシステムやBSDシステム、あるいは安価な商用システムをベースとした低価格の素晴らしいルータやファイアウォール、あるいは複合ネットワークシステムを開発する可能性も十分に考えられた」とミシニック氏は話す。
「はっきり言って、シスコもそれをやっただけであり、そして何年にもわたって機能を追加してきたわけだ。だが同じ機能に対して、同社の製品はずっとコストが掛かる。確かに、シスコは優れた実績のあるツールを提供しており、顧客のニーズに基づいて何年にもわたって改良を加えてきたが、コモディティハードウェアとソフトウェアを利用すれば、独自にルータやファイアウォール、ハブなどのネットワークコンポーネントをタダ同然で組み立てられるのではないかと思う」(同氏)
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
急増する「AIはこう言ってる」マン 判断を狂わせる「AI忖度」を防ぐには?
-
2
取手市がVDIと決別した理由 更改費用「4倍超」を約1.7倍に圧縮
-
3
「Excel至上主義」の終わらせ方 丸2日の手作業地獄から情シスと現場を救うには
-
4
221人調査で分かった「情シス最大のストレス」は?
-
5
「データストレージの活用方法」に関するアンケート
-
6
「AI時代の統合基盤・エンタープライズAI管理」に関するアンケート
-
7
自宅のWi-Fiが「遅い」「途切れる」本当の原因は? Dellが推奨する鉄則
-
8
本当に安いPCで十分か? “すぐ重くなる”を防ぐノートPC選びの絶対条件
-
9
100億円の「Linux更新」を回避 みずほ銀行が選んだ“おきて破り”のRHEL延命策
-
10
Claudeの不可視透かしに批判殺到 著作権消失や誤判定に潜む企業リスク
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
年収2000万「クラウドセキュリティのプロ」になれる資格とは
-
2
セキュリティソフトをすり抜ける標的型攻撃メール、不審メールの見破り方とは?
-
3
Windows Updateの通信集中で回線が逼迫、ネットワーク刷新事例に学ぶ解決策
-
4
財務を戦略的組織へ進化させるAI活用術、4つの主要な障壁と解消方法
-
5
「NAS」「SAN」「DAS」は何が違う? いまさら聞けないストレージの基礎
-
6
“あのファイル転送”で暗躍するノーウェアランサム
-
7
標的型攻撃メールを見破るには? サンプル文面を例に傾向を解説
-
8
商用利用の安全性を確保し大量のコンテンツを高速で生成する、AI活用の秘訣
-
9
マンガで解説、1日で生成AI環境を構築できるワークショップの中身とは?
-
10
Dark AIが台頭する時代の新発想、「より高度なAIで対抗する」具体的方法とは?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー