Column
SOAの進化をリードするマッシュアップ
「マッシュアップ」は大学生の趣味から、企業における共同作業のあり方を変える原動力になりつつある。
「SOAのキラーアプリはマッシュアップだ」。10月に米国サンフランシスコで開催されたOracle OpenWorldカンファレンスで、基調講演者らはそう語った。
彼らは講演で、大学生が個人で作成して楽しんでいるようなマッシュアップのことを言っているのではない。彼らが取り上げたのは、企業における共同作業のあり方を変えるマッシュアップだ。
基調講演者の1人であるITコンサルティング会社キャップジェミニのアンディ・マルホランドCTO(最高技術責任者)は、インテルのチーフストラテジスト、クリス・トーマス氏らとの共著による新刊「Mashup Corporations: The End of Business as Usual」(マッシュアップ企業:これまでのビジネスの終わり)の内容に沿った講演を行った。
同氏は、企業は両氏が言うところの「サービス指向エンタープライズ」モデルを採用しなければならないと論じた。
また、オラクルのFusion Middleware担当上級副社長、トーマス・クリアン氏は基調講演で、SOAをベースにマッシュアップに取り組む企業では、どのようなアプリケーションが使われるようになるかを説明するデモを行った。
このデモでは、従来型のデスクトップワープロや表計算プログラムと電子メール、インスタントメッセージング(IM)機能に、Wiki、ブログ、VoIPなどのWeb2.0アプリケーションを組み合わせたマッシュアップ型企業予算編成アプリケーションが紹介された。
クリアン氏は開発者やアーキテクトに、「Webアプリケーションを使って、真に洗練されたダイナミックなコラボレーション環境を構築する」ことを呼び掛けた。
理論上、クリアン氏が紹介したような「エンタープライズマッシュアップ」は、予算編成などの業務をスピードアップさせる。こうしたマッシュアップにより、マーケティング担当者や経理担当者、事業部門長、取締役は、Webサービスアプリケーションを用いて予算の数字や図表を対話的に見ることができる。さらに、電子メールやIM、VoIPを使って変更について徹底的に議論しながら予算を詰め、取りまとめることができる。こうした一連のプロセスを進めるのに、手間の掛かる日程調整を経て会議室で何度も会議を重ねる必要がなくなる。マルホランド氏の説明では、こうした会議はSOAが活用される前の「これまでのビジネス」を特徴付けるものだ。
シスコシステムズのジョン・チェンバース社長兼CEOも、Oracle OpenWorldでの基調講演でSOAとコラボレーションを重要テーマとして強調し、Web2.0の考え方を利用してITの可能性を広げるビジョンを披露した。
「コラボレーションは次のフロンティアだ」と同氏は聴衆に語った。
Wikiやブログを取り入れたエンタープライズマッシュアップというオラクルのビジョンに、チェンバース氏は次世代ビデオ会議に関するシスコの「テレプレゼンス」のビジョンを追加した。
シスコが描くテレプレゼンスのビジョンは、サイエンティフィックアトランタの買収で取得した高精細の双方向ビデオ技術に基づいて、世界各地の人が参加する仮想会議を、参加者全員が同じ会議テーブルを囲んでいるかに見えるような形で開けるようにするというものだ。現在のビデオ会議では、会話のやり取りがぎこちなくなりがちだが、こうしたテレプレゼンス会議では参加者同士が、例えば、インドからの参加者と米国インディアナ州からの参加者の間でも、じかに顔を合わせているかのようにスムーズに話し合うことができるとされる。
シスコは自社で開発したテレプレゼンス技術を社内でも積極的に採用し、出張を減らすとともに、交通費を節約する計画だとチェンバース氏は述べた。
また同氏は、テレプレゼンス技術の環境面でのメリットもアピールした。この技術は車や飛行機での移動を減らし、大気汚染の軽減にも貢献するという。
さらに、テレプレゼンス技術はエンターテイメントへの応用も可能だ。
トークショーのホストのように聴衆の間を歩き回ってエネルギッシュに講演したチェンバース氏は、同氏のマッシュアップのビジョンに基づいた野球観戦の新しいスタイルを紹介し、話に彩を添えた。野球ファンが仮想チケットを購入し、携帯電話で試合のハイライト映像を取り込んで大画面テレビに映す様子が例示された。
チェンバース氏は、Web2.0技術の多くは、コンシューマーエンターテインメント用に生まれたが、将来は、パーソナル用途向けとビジネス用途向けに共通のWeb2.0技術が活用されるようになるだろうと述べた。
チェンバース氏は、IT担当者が大部分を占める聴衆に向かって、こうしたWeb2.0のコラボレーションビジョンが懐疑的に受け止められていることは承知していると語った。しかし、同氏はこう強調した。「5年後には、皆さんはこうしたことを実行に移しているだろう」
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