Apple―IBM連合とは別のアプローチ
Appleが仕掛ける次の一手は「Android for Work」への対抗策?
「AirWatch」と「MobileIron」がiOSへの対応を強化する。ビジネスアプリの安全な配布を可能にする米Appleの今回の協業は、米IBMとの業務提携とは異なったアプローチである。
米Appleは、セキュアなiOSアプリの企業導入を支援するため、新たな取り組みを開始した。
Appleが米IBMとの業務提携を発表したのは2014年7月。企業向けモバイル分野を強化する姿勢を打ち出した。それから1年、同社はビジネス向けモバイルアプリに関して、大手EMMベンダー2社と新たに業務提携を締結した。
Appleは2014年7月、米IBMとの業務提携を発表し、企業向けモバイル分野を強化する姿勢を示した。それから1年、Appleは新たに大手EMMベンダー2社と、ビジネス向けモバイルアプリの提供に関する業務提携を締結した。
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iOSの業務利用
業務アプリの配布方法とは?
米VMwareは企業向けの新たなiOSアプリ用設定テンプレートを2015年中に公開する。また、ヘルスケア、教育、航空業界などに特化した「シングルタッチ」のアプリの提供を開始する。同社EMMプラットフォーム「AirWatch by VMware」において、企業向けにiOSへの対応を強化する。
アプリケーション設定テンプレートの名称はまだ明らかにされていない。ID管理製品「VMware Identity Manager」が発表されたときもあまり多くは語られなかった。
企業向けモバイルアプリの標準化団体であるApp Configuration for Enterprise(ACE)も取り組みを強化している。ACEでは、iOSやAndroid向けモバイルアプリの管理とセキュリティの向上を目指している。米Dropbox、米Box、米DocuSign、米MicroStrategyなど15社の企業が新たに参加した。
VMwareの競合である米MobileIronは2015年5月に「MobileIron OneTouch」を発表した。同社によると、これはビジネス向けiOSアプリを“そのまま”で安全に導入できるプラットフォームであるという。
OneTouchでは、アプリの配布やセキュリティの確保を一括で行うことができる。アプリの構成や認証、プロビジョニングといった作業は自動的に行われる仕組みとなっている。
MobileIronは、OneTouchに関して、Box、DocuSign、MicroStrategy、米ProntoFormsをはじめ、独立系ソフトウェアベンダー(ISV)と幅広く連携している。OneTouchの提供時期については明らかにされていない。
AppleのCEO(最高経営責任者)であるティム・クック氏は、2015年4月に開催した同社第2四半期の業績報告で、これらの企業連携についてほのめかした。同社は、上記に挙げたISVのうちの数社を協力し、特に「iPad」に関連するさまざまなモバイル製品を顧客に提供するとしている。
Appleによる大手EMMベンダー2社との提携は、米Googleの企業向けアプリフレームワーク「Android for Work」の動きが関係しているかもしれない、と業界観測筋は見ている。Android for Workでは、「Android 5.0 Lollipop」が稼働するデバイスに仕事用プロファイルを設定することができる。Android for Workに対応したEMM製品には、AirWatch、MobileIron、米Citrix Systemsの「XenMobile」、カナダBlackBerryの「BlackBerry Enterprise Service 12」などがある。
「Googleの勢いが強いため、Appleはこの分野において競争的なポジションを取っている。エンタープライズ市場でのシェア拡大を狙うのではなく、現状維持を図ろうとしている」と米451 Researchでエンタープライズモビリティ担当リサーチ責任者を務めるクリス・ハゼルトン氏は話す。
AppleとEMMベンダーによる新たな業務提携は、App Store内で「エンタープライズアプリストア」を開始する前触れである可能性がある、とハゼルトン氏は指摘する。そうなれば、ストア内の全アプリが管理可能になり、モバイルアプリ管理の対象範囲が一般アプリにまで拡大するという。
Appleにコメントを求めたが、本稿執筆時点で回答は得られていない。
企業でのモバイルアプリ利用が大きな課題に
IBMとAppleは業務提携を通じて、業界に特化した100種類以上の企業向けiOSアプリをリリースする計画だ。現在、そのうちの25種類弱が提供されている。
Appleの新たなアプローチは、企業や団体により広くアピールすることができる、と米Lopez Researchの創業者でモバイル担当アナリストのマリベル・ロペス氏は話す。IBMとAppleが提供するのは金融や官公庁、旅行といった業界特化型のカスタムアプリである。その一方で、EMMベースのiOSアプリであれば、あらゆる企業で利用することができるはずだという。
「世の中では、モバイルの安全を確保するためのより簡単な方法が求められている」(ロペス氏)
エンタープライズモバイルアプリの利用は、企業のIT部門とユーザーにとって大きな課題になりつつある。米調査会社のGartnerによると、2017年末までに、モバイルアプリ開発に対する市場の需要は、IT部門の供給能力より少なくとも5倍の速さで成長しているという。
AirWatchやMobileIronの動きに続き、その他のEMMベンダーが同様のiOSイニシアチブを立ち上げるかどうかは分からない。
EMMベンダーの米Good Technologyは、それに対する態度を明らかにしていない。だが、同社広報担当者は「Good Dynamics Secure Mobility Platformにおいて、長年にわたりセキュアなiOSアプリをサポートしてきた」と述べている。現在、同社のコンテナ技術を使って提供されているアプリの数は、iOS、Android、Windowsを含めて1900以上に達するという。
Citrixには、XenMobileが今後、iOSのイニシアチブに加わるかどうかについてコメントを求めたが、回答は得られていない。
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