ビジネス向け管理機能を強化
iPhone/iPadを大量導入しても大丈夫、次期「iOS 9」のアプリ管理機能が秀逸
Appleは次期「iOS 9」で「Volume Purchase Program(VPP)」に変更を加える予定だ。それにより、IT管理者とユーザーの悩みが軽減されるかもしれない。その具体的な変更点を解説する。
米Appleは次期「iOS 9」のリリースに伴い、「Volume Purchase Program(VPP)」を変更する予定だ。それにより企業のIT管理者は、Apple IDを使わずにiOSアプリを一括導入することが可能になる。
VPPを使うことで、企業や団体はiOSアプリを一括購入して、ユーザー端末に一斉に配布することができる。現在は、iTunes Store経由で特定ユーザーのApple IDにアプリを割り当てる仕組みとなっている。これが、今秋に提供予定のiOS 9では、Apple IDと連動せずに特定のデバイスへアプリを割り当てられるようになる。
Appleは先日開催の開発者向けカンファレンス「Worldwide Developers Conference 2015(WWDC 2015)」の基調講演で、同社製品の企業対応について詳細を明らかにした。また、個別のセッションでは、VPPの変更点や、iOS 9でのデバイス/アプリの管理方法などについて説明がなされた。
「デバイスに割り当てる新たな方式によって、IT管理者はVPP経由でデバイスにアプリを割り当てられるとともに、そのインストールやアップデート、管理を完全にコントロールすることができる」とAppleでデバイス管理ツール担当技術マネジャーを務めるトッド・フェルナンデス氏はセッションで語った。
エンドユーザー自身は変更を加えられない。デバイスにApple IDが設定されていたとしても、そのデバイスに割り当てられていないアプリは、Apple IDの購入履歴に表示されない。
「VPPのプロセスの中でアプリとApple IDを切り離すことによって、IT管理者とユーザーが抱える悩みの一部は緩和するだろう」とApple製品の再販業者でITマネージドサービスプロバイダーでもある米TSPの創業者でCTOを務めるマイケル・オー氏は話す。
同氏によると、IT管理者はアプリに対するコントロールを強化できるとともに、ユーザーはアプリの入手がより簡単になるという。
「現在の仕組みでは、VPPからアプリを手に入れるには複数のステップを進める必要がある。今後は、デバイスを支給したらアプリのためにApple IDとパスワードの入力をする必要はない」(オー氏)
だが、これには落とし穴が潜んでいる。アプリをデバイスに割り当てることで、利用するデバイスごとにアプリを購入する必要が出てくるのだ。これまでアプリはApple IDに割り当てられていたため、Apple IDと関連付ければ全てのデバイスでアプリが表示された。
ユーザーに複数のiOS端末を支給している企業の場合、アプリに関する支出が増える可能性がある、とオー氏は指摘する。だが、ほとんどの企業にとっては大きな問題にならないだろうとしている。
iTunes Storeにアプリを公開している開発者は7月から、VPP経由でアプリをデバイスに割り当てる配布方式を許可するかどうかを選択できるようになる、とフェルナンデス氏は話す。
国や地域をまたがったアプリの配布が可能になる。IT管理者は、ある国でVPPを用いて購入したアプリを、別の国のユーザーに配布することができる。ただし、そのアプリが配布先の国のApp Storeでも利用可能な場合に限られる。現在、アプリが配布できるのは購入先と同じ国のみとなっている。
DEPのアップデートとConfigurator 2の登場
Appleの「Device Enrollment Program(DEP)」は、iOS端末を大量導入する企業の導入負荷を軽減するサービス。iOS 9では、DEPに対する幾つかのアップデートが予定されている。IT管理者は、設定や制限、アカウントなど全てのシステム構成が正しく完了するまで、DEPに登録されたデバイスを利用されないようにすることができる。
「この変更はセキュリティの強化につながる。IT管理者による環境設定が完了するまで、ユーザーはDEPに登録されたデバイスで何もすることができない」(オー氏)
Mac OS Xを使ってデバイス管理を行う無料ツール「Apple Configurator」も、iOS 9、OS X El Capitanに併せて新版がリリースされる計画だ。Apple Configurator 2では、モバイルデバイス管理(MDM)システムとの連係、カスタムワークフローの作成が強化される他、同一システム内におけるConfigurator間のデータ共有とデバイス移動の方法も改善される。
2014年以前は、MacとiOS端末を有線で接続して、Apple Configurator経由でキッティング作業をするより他の手段はなかった。今回のアップデートにより、IT管理者は無線ネットワーク経由でデバイスを登録できるようになる。
「Configuratorは、教育業界以外であまり使われていない。また、MDMベンダーがConfigurator 2との統合を強化するかどうかはまだ分からない」(オー氏)
Appleは、iOS 9で「Microsoft Exchange ActiveSync 16」をサポートすると述べている。その他にも、性能と信頼性の向上やメール添付機能のサポート、会議の出席依頼を作成する機能などが含まれる。
iOS 9の開発者向けβ版は既に提供しており、パブリックβ版は7月に開始の予定となっている。
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