「Pivotal ジャパン サミット 2015」リポート
ヤフー、“開発効率10倍”を目標にPaaS利用に本腰(2/2 ページ)
段階的な利用拡大で新たな成長の原動力に
こうして同社は「10倍開発できるPaaS環境」を目標に掲げ、2015年4月から製品選定も兼ねたオンプレミスでのPaaSの検証に着手する。なお、PaaS選定の際に求めた要件は、(1)OpenStackなどの既存資産を生かせること、(2)OSSベースであること、(3)セキュリティ対応がしやすいこと、(4)カスタマイズできること、の主に4つである。
検証を通じ、平田氏にはPaaSに対する本音ベースの声が多く寄せられた。総じて好意的に受け止められたのが「Cloud Foundry」の言語やフレームワークの管理機能である「Buildpack」である。理由は、既に稼働実績があり、検証を通じて高い安定性が確認され、既存の開発テンプレートの移行によって、構成管理のコストを安価に抑えられると見込めたこと。対して、アプリケーションやOSの開発、配備を行うためのOSSの基盤ソフト「Docker」は、稼働実績が未知数、自由度が高い分、構成の事前検討に工数が必要とされることなどから、現時点では見送る方向となった。
これらを総合的に勘案し、ヤフーではBuildPackから利用を開始し、ノウハウがたまり次第、コンテナ技術の活用に乗り出すことでPaaS導入を決定。そして、最終的に選定したのがCloud Foundryをベースとする企業向けディストリビューション「Pivotal CF」である。背景には製品とサポートに対するITエンジニアからの高い評価もあった。
「Pivotal CFは使い勝手が格段に高く、100インスタンスであれば10秒ほどで立ち上げられる。Cloud Foundryの導入実績はグローバルで500社以上に上り、Pivotalジャパンに多数のITエンジニアも在籍し、手厚いサポートも受けられた。加えて、PivotalジャパンとCloud Foundryを共同開発することで、インフラ開発ノウハウを蓄積できることが採用の決め手となった」(平田氏)
同社にとっての直近の課題は、PaaS環境を今後、ITインフラにどう展開するかである。PaaSは同社のITエンジニアにとって、開発手法の変更を迫るものでもある。この点を考慮し、同社では約1年をかけた段階的な導入で開発文化を新たに醸成する考えだ。具体的には、まずパイロットサービスにPaaSを導入し、その後、PaaSによる全社的な開発環境をリリースする。その上で全社的な本番環境をリリースするという。
平田氏は、「PaaSの本番利用に向けた検証もこれから進める必要がある。アクセスの急増に合わせたサーバのスケーリングや、運用の手間を削減するための迅速なインスタンスの立ち上げ、万一の障害対応の方法など、実際に試さなければ分からないことは山積みだ。だが、それらの課題を克服できた暁には開発効率、ひいてはサービス力も格段に底上げできるはずだ」と期待を込める。
ヤフーは次なる成長に向けた新たな原動力を手に入れつつあるようだ。
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