【連載】IT部門のためのアナリティクス入門 第3回
データ分析で成功するためのデータマネジメントとIT部門の新たな役割(3/3 ページ)
セルフサービスが主流なら、IT部門は何をすればいいのか?
何ていうか、自分たちしかできないって思っていた業務が、こうも鮮やかにツールでできちゃうと、心にぽっかり穴があいたような……。
いやね、データ抽出や加工の作業って、時間も手間も掛かるし、ユーザー部門のリクエストに応えるのは大変だし、データマネジメント業務をセルフサービス化できるなら願ったりかなったりなんですけどね。それはそれで何か、一抹の寂しさっていうか……。
実際、セルフサービスデータマネジメントが主流になったら、情報システム部門はこれからどうやってアナリティクスに関わっていけばいいんでしょうか。間接的でも、ITで会社のビジネスに貢献できそうだったのに。
はあー。おぬしは本当に世話が焼けるのお。ほれ。さっきわしが言った、もう1つのキーワードがあったじゃろうが。
え? ああ、何だかもう1つありましたね。聞きなれない言葉だったので、しれっとスルーしちゃいました。データスチュワード……でしたっけ? えーと。えーと。スチュワーデスの兄弟みたいなもんですか?
ひねりがなさ過ぎるわっ、と言いたいところじゃが、良い線を行っておる。「Steward」には、執事や船室係、幹事、世話役といった意味があり、航空会社の「スチュワーデス」もここから来ておる。
データスチュワードは、部門横断的に業務とアナリティクス、そしてITについて一定の理解とスキルを有しつつ、アナリティクスとそれに必要なデータやスキルを効果的かつ効率的にマッチングするのが主な役割じゃ。
「ユーザーの使いたいデータはどこにあるのか」「社外データはどのように調達できるのか」「他部門ではどのようにそのデータを活用しているのか」といった疑問に答えてくれる存在じゃ。
なるほど。確かに社内のどこにデータがあるかといったことや、社内の各部門でのデータ活用の事例などは、実は情報システム部門内に情報が蓄積しています。それにシステムインテグレーター(SIer)やベンダーの担当者から他社の事例や情報を提供してもらうことも多いので、知見もたまっています。
いつも爽やかに思い付きの難題を押し付けてくる営業本部長の北河さんも、常に「緊急」って血相変えて依頼してくるマーケティング本部データ分析部のエース羽賀さんも、一緒にプロジェクトを乗り越えた仲なので、今ではすっかり仲良しです。
そうそう。以前、北河さんの営業本部が商品ごとの売り上げ分析をしようとしたときに、経営レポート用の商品マスターを作ったことがあるんです。実は、開発部門が使っている商品マスターと営業部門が使っている商品マスターが全く連係していなくって、経営視点での商品別収益が必要ということだったので。
で、その後マーケティング本部の羽賀さんにこれを紹介したところ、「アナリティクスのROI(投資対効果)を測る上でも、その分類表が最適だ」ということで、そっちでも使うことになったんです。「うちのIT部門は各部門の架け橋だね」って褒められちゃいました。もう、今じゃ、北河さんも羽賀さんも、手のひらでコロコロ転がせられますよ。
そ、そうか。って、おぬし、ちょっと腹黒くなってきておるぞ。
データスチュワードは約10年前 、BIをサポートする組織である「BICC(ビジネスインテリジェンスコンピテンシーセンター)」の必要性が叫ばれる中で定義されておったが、最近のアナリティクスの広まりによって、その役割の重要性が再認識され始めている。最近では、必要となるデータやスキルの全てを組織内で準備することが現実的ではなくなってきており、全社横断的な知見と外部ナレッジに一番近い位置にいるIT部門こそ、データスチュワードの役割を担う、最適な立ち位置といえるかもしれん。
データスチュワード……。すてきじゃないですかっ。ビッグデータアナリティクスを支える情報システム部門の新たな役割として、不足はありません。私何だか、がぜんやる気が出てきました。最近は、ユーザー部門から「IoT(モノのインターネット)データの活用」についての問い合わせも多いんですけど、データの場所や活用方法など、これはまさにデータスチュワードの腕の見せどころですよね。
あ、ところでIoTデータって蓄積するとすごいデータ量になりますよね。ということはビッグデータの一種って考えていいかなって思っているんですけど、何か気を付けないといけないポイントとかあるんでしょうか。
って、仙人。ど、どうしたんですか? 何で川の真ん中につっ立っているんですか? しかもそこ、激流ですよ。濁流ですよ。水量も多いし早いし、そんな流れの中に居たら危ないですよー!
(第4回に続く)
執筆者紹介
小林 泉、大島玲子
(小林)SAS Institute Japanでビッグデータ・アナリティクスのプロジェクト経験を踏まえ、Hadoopソリューションなどの新製品展開の担当を経て、現在は事業企画を担当。最近、仙人になろうと掃除機をインターネットに接続してみたりしている。
(大島)SAS Institute JapanでB2Bマーケティングのキャンペーン企画/管理を担当。愛犬と一緒に、サッカー観戦をするのがお気に入りの時間。最近、IT部門に興味津々。
イラスト
岡戸 妃里
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
IT部門のためのアナリティクス入門
ビッグデータアナリティクスのビジネス活用において、IT部門が果たす役割とは何か。アナリティクスの本質と必要なツールについて、分かりやすく解説します。
この記事の著者
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
「Excel至上主義」の終わらせ方 丸2日の手作業地獄から情シスと現場を救うには
-
2
取手市がVDIと決別した理由 更改費用「4倍超」を約1.7倍に圧縮
-
3
「Microsoft 365のセキュリティ運用」に関するアンケート
-
4
急増する「AIはこう言ってる」マン 判断を狂わせる「AI忖度」を防ぐには?
-
5
221人調査で分かった「情シス最大のストレス」は?
-
6
「Salesforceのテスト自動化ツール」に関するアンケート
-
7
「データストレージの活用方法」に関するアンケート
-
8
「AI時代の統合基盤・エンタープライズAI管理」に関するアンケート
-
9
AIで人を減らした企業がもう心変わり 「AIブーメラン現象」の実態
-
10
自宅のWi-Fiが「遅い」「途切れる」本当の原因は? Dellが推奨する鉄則
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
年収2000万「クラウドセキュリティのプロ」になれる資格とは
-
2
セキュリティソフトをすり抜ける標的型攻撃メール、不審メールの見破り方とは?
-
3
Windows Updateの通信集中で回線が逼迫、ネットワーク刷新事例に学ぶ解決策
-
4
財務を戦略的組織へ進化させるAI活用術、4つの主要な障壁と解消方法
-
5
「NAS」「SAN」「DAS」は何が違う? いまさら聞けないストレージの基礎
-
6
“あのファイル転送”で暗躍するノーウェアランサム
-
7
標的型攻撃メールを見破るには? サンプル文面を例に傾向を解説
-
8
商用利用の安全性を確保し大量のコンテンツを高速で生成する、AI活用の秘訣
-
9
マンガで解説、1日で生成AI環境を構築できるワークショップの中身とは?
-
10
Dark AIが台頭する時代の新発想、「より高度なAIで対抗する」具体的方法とは?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー