Infrastructure as Codeで変わる運用管理の現場【第2回】
人気のOSS構成管理ツール「Chef」「Ansible」を比較(2/2 ページ)
自由度が高く機能が豊富なChef
Chefは、Chef Softwareが開発したOSSの構成管理ツールで、プログラミング言語「Ruby」で実装されている。Chefの手順書は「Cookbook」やRecipeと呼ばれ、Rubyのスクリプトとして記述する。通常のRubyスクリプトを書くように条件分岐などの処理を記述できるため自由度は高いが、学習コストが高くなったり、トラブルシュートが難しくなったりする場合もある。
Chefは、Recipeなどの情報を集約する「Chef Server」や、各サーバで動作しChef ServerからRecipeを取得して構成管理をする「Chef Client」などで構成されている。Chef Clientには、Chef Serverを構築せずに利用できるローカルモードもある。
例えば、Webサーバのパッケージをインストールする場合は「package」モジュールを使用する。Linuxディストリビューションの種類によってパッケージ名が異なるため、ここでは「Debian」とRHELに対応する形式でRecipeを書いてみる。このように、少し複雑な処理でも簡単に書けてしまうのがChefの特徴である。
package 'Install Web Server' do # yumや「apt」(注3)を抽象化したモジュールを使用
case node[:platform] # 対象サーバのOSで条件分岐
when 'red hat' # OSがRHELを含むRed Hat系の場合
package_name 'httpd' # httpdパッケージをインストール
when 'debian' # OSがDebian系の場合
package_name 'apache2' # apache2パッケージをインストール
end
end
Chefを使ってWebサーバをインストール。パッケージ管理コマンドによってWebサーバの名前が異なるので、OSの種類によって条件分岐する
※注3 Debian系Linuxディストリビューションのパッケージ管理コマンド。
シンプルで初心者にも使いやすいAnsible
Ansibleは、Red Hatに買収されたことで話題を集めたOSSの構成管理ツールだ。プログラミング言語「Python」で実装されている。
手順書は「Playbook」といい、「YAML」という構造化テキストで記述する。プログラミング経験のない情報システム担当者でも使い始めることができるが、その半面、自由度が制限される場面があったり、複雑な処理を書きづらかったりするデメリットもある。
Ansibleは、Chefのように対象サーバにクライアントなどをインストールする必要がなく、SSHでログインできれば構成管理が可能なため、手軽に使い始めることができる。コンテナ管理ツールの「Docker」や、Dockerの周辺ツールを扱うためのモジュールが利用できる。
Chefと同様に、Webサーバのパッケージをインストールする例を示す。AnsibleではLinuxの種類に応じてパッケージ用のモジュールが用意されているため、「when」という条件分岐のパラメーターを使ってOSを判別する必要がある。自由度は少し制限されるが、簡単に利用できるのがAnsibleの特徴である。
- yum: # yumコマンドを抽象化したモジュールを使用
name: httpd # httpdパッケージを作業対象に指定
state: latest # 最新バージョンをインストール
when: ansible_os_family == 'Red Hat' # OSがRHELを含むRed Hat系の場合のみ実行する手順
- apt: # aptコマンドを抽象化したモジュールを使用
name: apache2 # apache2パッケージを作業対象に指定
state: latest # 最新バージョンをインストール
when: ansible_os_family == 'Debian' # OSがDebian系の場合のみ実行する手順
```
Ansibleを使ってWebサーバをインストール。Red Hat用とDebian用の手順を作成し、OSの種類によって実行する手順を区別する
今回は構成管理ツールの概要紹介と、Chef、Ansibleの比較をした。構成管理ツールはInfrastructure as Codeを実現するためには必要不可欠であり、手順書のコード化によって得られるメリットは大きい。ぜひ挑戦してみてほしい。その際には、プログラミングの知識も必要なく、簡単に使い始められるAnsibleを勧める。英語の公式のマニュアルが充実しているため、分からないことがあったときは助けになるだろう。
今回紹介した以外にも、構成管理ツールの火付け役である「Puppet」や、Chefの機能をシンプルにした日本製の「Itamae」といったツールもある。興味があれば調べてみてほしい。
次回は、より実践的な構成管理ツールの利用方法をチュートリアル形式で紹介する。
堀内晨彦(ほりうち・あきひこ)
生まれも育ちも香川県。香川大学大学院 情報科出身。学生時代は研究の傍ら、勉強会やコミュニティー活動に積極的に参加し、「Hubot×ChatOps勉強会」などを主催。2016年4月からは上京し、ICT企業でクラウドエンジニアの見習い中。趣味は料理とカメラ。
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