仮想ADCも視野に検討を
低価格になった「アプリケーションデリバリーコントローラー」、最適の1台を選ぶポイントは(2/2 ページ)
検討すべきADCの機能
ADCや、ADCの前身となるテクノロジーは既に長年にわたって存在していたので、ADCの機能面の特徴は簡単に想定できるだろう。今では比較的ローエンドのADCにも多くの機能を搭載している。膨大な量のデータを扱う通信事業者やデータセンター向けに設計したハイエンドのADCでは、追加機能を搭載している。具体的には、IPレピュテーション、アプリケーションのローカルキャッシュ、統合IDサービスなどだ。ただし、ADCに実装する機能は実質的に全てベンダー独自の技術なので、競合するADC製品の比較は困難だ。
ADCを通過するHTTP、FTP、DNSなどの技術はどれも標準化した規格だが、データトラフィックをどのように処理するかを決める標準規格は存在しない。そのため、自分たちで作成した確認リストに基づく“書類審査”でADCを購入しようとしても、うまくいかないだろう。購入を判断する前に検討しているADCを実際に試すことが重要だ。現在ではほとんどのベンダーが、評価用の仮想アプライアンスを貸し出している。実機を使えばユーザーにとってデバイスの機能と特徴を実用的なレベルで評価できる。
この評価において、検討すべき項目と機能について以下に挙げておこう。どの機能が“必須”で、どの機能“あると便利”なのかを評価すると、自分たちの業務と企業規模に最適な製品を選ぶことができるはずだ。、
アプリケーションとインターネットプロトコル ADCが、自社のアプリケーション固有のニーズをサポートしているかどうかを確認しておくべきだ。HTTPは全てのADCでサポートしているが、XMLをサポートしているとは限らない。同様に、ADCの使用期間内にIPv6への移行を計画する可能性もあるだろう。そのため、ADCがIPv6をサポートしているかどうかも確認しておきたい。
SSLのオフロード バックエンドサーバのリソースは、ネットワークの調整よりアプリケーションサービスの提供に専念するのが理想だろう。SSL(Secure Sockets Layer)セッションの解読と暗号化は、膨大な量のリソースを消費する可能性がある。
SSLの負担は個々のサーバからADCにオフロードできる場合が多い。SSL(HTTPS)トラフィックはサーバで終了し、暗号化していないHTTPトラフィックはバックエンドサーバに供給する。この処理はデータセンター内で行うため、一般的にセキュリティ上のリスクはない。また、バックエンドサーバに搭載するCPUなどのリソースは、ネットワークセキュリティのタスクで消費するのではなく、アプリケーションの処理に活用できる。
HTTPキャッシュ アプリケーションサーバは同じ情報を送信するために何度も呼び出す可能性がある。Webページであれ最近のニュース記事であれ、ユーザーが短期間に同じコンテンツを何百回または何千回も要求するのは少なくない。
多くのADCは高機能なので、送信したばかりの情報をまた要求してきたことを認識できる。ADCは情報をキャッシュまたは保持できるので、クライアントからの要求をターゲットサーバに渡すことなく、キャッシュからデータを送ることが可能だ。この処理を適切に行えばユーザーへの応答時間を短縮でき、バックエンドサーバへの負荷も減らすことができる。
ただし、ADCがどのようにデータの“鮮度”を判断しているかに注意しなければならない。ADCのキャッシュからユーザーに古くなった情報を送信するのは最も避けたいからだ。
アプリケーションの監視機能 全てのADCが何らかのアプリケーション監視機能を搭載している。だが、監視機能の精度については把握しておく必要がある。高度な監視機能を搭載していれば、ADCはより巧みに負荷のバランスを取ることができる。
スケーラブルなパフォーマンス パフォーマンスを向上するためだけにデバイスを丸ごと取り換えたくはないだろう。多くのベンダーは単純なライセンスのアップグレードに対応している。ライセンスをアップグレードすればパフォーマンスの向上した新しいバージョンを入手できる。今ベンダーが提供するデバイスは、一番グレードが低くても必要以上のスループットに対応できる。
ライセンスのアップグレード価格は、対応できるスループットによって決まる。もっと多くのスループットが必要な場合は、ハードウェアを変更しなくてもライセンスのアップグレードで対処可能だ。ADCを仮想アプライアンスまたはホストサービスとして実装する場合(後者は仮想アプライアンスになることが多い)、追加のADCリソースを稼働して、需要の急増やユーザートラフィックの増加に対応できるだろう。
DDoS攻撃からの保護 分散型DoS攻撃(DDoS)は、サーバに偽の要求を大量に送りつけて、正当な要求に対応できるリソースを不足させることで、サーバを機能不全にする攻撃だ。DDoS攻撃をADCに対して実行すると、ADCに接続するサーバ群全体にアクセスできなくなる可能性もある。
グローバルな負荷分散 グローバルな機能が必須になる企業もあるだろう。この機能はかなり複雑になるかもしれない。だが、目的はバックエンドのサーバ群がADCと同じ場所に配置したサーバだけでなく、WAN上に配置したサーバで構成できるようにすることだ。
仮想アプライアンス 必須の機能ではないが、“将来の変化”に備えるためにADCを仮想アプライアンスとしてインスタンス化する機能を用意しておきたい。このような方法でADCを導入する予定がなくても、仮想アプライアンス機能があれば、運用環境のADCに影響せず簡単に新しいコードを試すことができる。これにより、ADCのアップグレードとメンテナンスが容易になる。
データ損失防止 現在、データ損失防止(DLP:Data Loss Prevention)機能を搭載するADCもある。こうしたADCは、送信データを検査して企業の定めたセキュリティポリシーと比較する。送信データの中にセキュリティポリシーに違反するものがあれば、警告またはブロックする。ただし、DLPという機能自体がとても複雑な機能になる可能性がある。必ずしもADCに簡単に追加できる機能ではないことを把握しておくことが重要だ。
小規模企業でADCを導入する意味はあるのか
ADCは今やかなり普及している。数台のアプリケーションサーバしか所有しておらず、そのサーバが社内のクライアントにしか対応していなくても、ADCの導入を検討する意義はある。エントリーレベルのシステムのコストは高すぎず、エンドユーザーへの応答時間やシステムの可用性の向上といった恩恵を受けることができる。ADCの導入は、今実施するインフラへの賢い投資といえるだろう。
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